【タイトル】 令和の米騒動と減反政策の失敗――誰も責任を取らない国、日本
1. 令和の米騒動とは何か?
2023年から始まった米不足。家庭用米の価格はじわじわと上昇し、業務用米の確保に奔走する飲食店や食品加工業者。日常に不可欠な主食「米」が静かに、しかし確実に私たちの生活を揺るがしている。
米がない。米が高い。
このシンプルな現象の裏には、長年にわたる農業政策の歪み、特に**減反政策(生産調整)**という制度の副作用が横たわっている。
2. 減反政策とは何だったのか?
減反政策とは、米の生産過剰による価格下落を防ぐため、農家に生産量の削減を求める政策である。1970年代から半世紀にわたり続けられ、農家は米を作らないことで補助金を得てきた。
この政策は一見合理的に見えるが、長期的には
- 農業従事者の高齢化と担い手不足
- 作付け技術や生産意欲の衰退
- 米の供給力の漸減
という深刻な副作用をもたらした。
とりわけ近年の異常気象・物流危機・国際情勢不安などにより、「国産米の安定供給」という目的を果たす能力が著しく低下している。
3. 供給不足の現場で何が起きているか?
現在、スーパーでは低価格帯の米が品薄に。外食チェーンでは米の仕入れ価格が前年の1.5倍〜2倍に跳ね上がっている。農家も「売る米がない」「作りたくても田を戻せない」と頭を抱えている。
これは単なる一過性の流通トラブルではない。
日本の主食である米の構造的な供給不全が始まっているのだ。
4. 誰が苦しんでいるのか?
- 消費者:価格高騰と供給不安
- 農家:作付け規制と利益減
- JA:流通量減少で経営圧迫
どこを見ても、現場が疲弊している。
一方で、責任を取らないのが官僚機構と政治家たちだ。特に、農林水産省と自民党の農林族は、過去の減反政策を「見直す」と言いながら、事実上その延命を図ってきた。
5. 小泉進次郎氏と財務省の“急ごしらえ”対策
2024年後半、財務省主導で小泉進次郎元農林水産大臣が“対策本部長”として急遽登場し、輸入米の拡大や備蓄米の放出が発表された。
だが、
- なぜ減反政策の失敗を認めないのか?
- なぜ過去に手を打たなかったのか?
という根本的な問いには誰も答えようとしない。
6. 官僚の「出世主義」が招く無責任体制
霞が関の多くの官僚にとって、重要なのは国民生活よりも「出世」である。自らの在任期間中に波風を立てず、次官・局長に昇進することが第一。
減反政策の見直しなど、軋轢を生む案件は後任に“丸投げ”され続けてきた。その結果が、令和の米騒動である。
7. メディアと国民の責任
「また一時的な供給不足でしょ」「そのうち落ち着く」――多くの国民がそう考えている。メディアも深掘りせず、官庁発表をそのまま報道する。
問題の根源を問い、過去の政策の総括を求める声が少なすぎるのだ。
8. どうすればいいのか?
- 減反政策の明確な総括と検証
- 農家が自由に作付けできる環境整備
- 需給バランスを反映した柔軟な米価調整メカニズムの構築
- 農業×テクノロジーの支援強化
そして何より必要なのは、国民が政治の失敗を忘れないことである。
おわりに:それでも誰も責任を取らない国で
「日本は自己責任の国だ」とよく言われる。しかし、政策の失敗に対する責任を取らない国に、誰が自己責任を果たすべきか。
官僚も政治家も、過去の失策を認めず、誰も謝らず、ただ次のポストを目指す。
令和の米騒動は、単なる食料問題ではなく、この国の民主主義の危機である。















