シニア万博から若者・学生万博へ
―変わる大阪・関西万博の風景と、未来への体験記―
2025年の大阪・関西万博が幕を開けて以来、さまざまなメディアやSNSを通じてその話題が広がっています。初期の段階では「シニア万博」と揶揄されるほど、来場者層の多くが中高年世代でした。しかし、最近は明らかに様相が変わってきました。連日の暑さもあってか若者や学生の来場が増え、万博の空気が変化しつつあります。
その変化を肌で感じた私が体験した、日本館・三菱館・NTT館の3つのパビリオンを軸に、万博の魅力と、これからの日本が進むべき方向性について綴ってみたいと思います。
万博の本当の魅力は「未来を想像させる力」にある
万博とは、単に各国の出し物を楽しむイベントではありません。もともと**“人類の進歩と調和”**をテーマに未来技術や文化を共有する場。今回の大阪・関西万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」を掲げていますが、それがどのように体現されているのか、実際に足を運んでみると理解が深まります。
私はこれまでに、日本館、三菱未来館、NTT未来館を訪れましたが、どれも想像以上の体験ができました。
日本館:伝統と未来の融合
日本館では、「いのち」や「つながり」をテーマに、先端映像技術と自然素材が調和した空間が広がっています。来場者を一気に異世界に誘うような演出は、まるで現代の神話空間。
特に印象的だったのは、日本古来の「間(ま)」の美学を活かした空間構成。デジタル技術と和の融合が、「日本の未来は過去の再解釈にあるのでは?」と感じさせてくれました。
また、多言語対応も充実しており、外国人観光客にも優しい設計になっています。まさに「世界に開かれた日本」を象徴するようなパビリオンです。
三菱未来館:映像による”未来のドラマ”
次に訪れたのが三菱未来館。ここはまさに「映画のような万博体験」ができる空間でした。SFのような映像美、未来都市を舞台にしたストーリー性、音響と視覚の臨場感が相まって、10分程度の体験なのに心に強く残るものがありました。
そしてただの映像作品ではなく、「あなたならこの未来にどう生きるか?」という問いかけが背後にある構成。これが学生や若者に刺さる理由のひとつだと思います。
NTT未来館:あなたの顔が”未来を映す鏡”になる
最後に訪れたNTT未来館では、自分の顔をAI技術で若返らせたり、老けさせたりする体験ができます。しかも、ただのエンタメでは終わりません。「時間の経過とは何か」「人間とは何者か」を哲学的に問いかける展示設計が秀逸でした。
顔の変化は一種の「デジタル鏡」。10年後の自分と向き合うことで、「いま何をすべきか」という問いに対して、自分の内面を見つめる時間になります。
この体験は、スマホ世代の若者にも「ただのSNS映え」で終わらず、深く刺さる余韻を残します。
予約がカギ!混雑を避けるコツとは?
人気パビリオンは基本的に予約制です。事前に公式アプリまたはWebサイトで予約を取ることが必要です。
当日思いつきで入ろうとしても、すでに満枠のことが多く、現地で「せっかく来たのに見られない!」という声も多く聞かれました。特に学生のグループ旅行やゼミ合宿の一環で来ている人たちは、計画的に回っている印象でした。
若者にこそ見てほしい「未来社会の試作室」
万博というと「年配の人が行くもの」というイメージがかつてはありました。しかし今回の大阪・関西万博は、明らかに違います。未来社会のビジョンを体感し、自分たちのキャリアや生き方にヒントを得る場になりうるのです。
- SDGsに関心のある高校生
- 大学で都市計画や建築を学ぶ学生
- IT分野やAIに将来を感じている若者
こうした人たちには、まさに**「リアルな実験場」**。どのパビリオンも、見た瞬間に「将来こういう仕事がしたい」と思わせてくれる設計になっています。
最後に:万博の価値は「五感と内省」
人は視覚だけでなく、音、香り、感触、空気の温度まで含めて記憶します。だからこそ、オンラインやSNSでは得られない体験が、ここにはあります。
私自身も「自分はこれからどう生きていくか?」という問いに向き合うことができた日でした。
そして願わくば、この万博の風景が「シニア万博」から完全に「未来志向万博」へとシフトし、次世代の背中を押す場所になることを願っています。
おすすめの回り方Tipsまとめ
- 事前予約はマスト(特に人気館)
- 朝イチ or 午後遅めが比較的空いている
- モバイルバッテリー持参推奨(写真&予約アプリで電池消耗)
- 食事は混雑を避けて分散時間で
- 疲れたら休憩所・シェードゾーンを活用
















