守るべき価値と、手放してもいい幻想
――いま、人生の棚卸しをするとき――
🔸はじめに:「全部守る」のは、もう無理な時代
「家族」「仕事」「収入」「人間関係」「肩書」「夢」――
私たちは、多くのものを「守らなければ」と思って生きてきた。
でも、2025年の今、物価は上がり、収入は増えず、社会は不安定。
「すべてを守る」のはもはや幻想なのかもしれない。
だからこそ、私は今日、自分に問い直してみた。
「本当に守るべきものって、なんだろう?」
そしてこうも思った。
「むしろ、もう手放してもいいものがあるのではないか?」
この文章は、そんな問いの中で浮かび上がってきた、ひとつの気づきの記録だ。
🔸第1章:幻想の正体は、“当たり前”という名の思考停止
人間は不安を抱えたくないから、「これさえあれば安心」と思いたがる。
たとえば:
- 正社員でいれば安泰
- 結婚すれば孤独じゃない
- 家を買えば将来は安心
- 都市にいれば仕事がある
- 年収が高い=幸せだ
でも、これらの**「常識」は、時代と共に崩れてきた**。
正社員でも突然リストラされる。
結婚しても孤独に苛まれることがある。
持ち家が負債になることもある。
都市は、逆に孤立を加速させる場所になった。
年収が高くてもメンタルを崩す人は後を絶たない。
つまり、「これがあればOK」という考え方は、安心のようで、不自由だったのだ。
🔸第2章:「手放してみたら、楽になった」体験談
私自身、以前は「キャリア」にしがみついていた。
転職歴が増えることが怖くて、上司の言葉に従い、自分の考えを飲み込み、評価を気にしてばかりいた。
でも、あるとき気づいた。
「“安定”という幻想にしがみついて、どれだけ不自由になっていたか」
勇気を出して、定年を待たずに会社を辞めた。
肩書を手放し、時間と意志を取り戻した。
最初は怖かった。でも、思った以上に「自由」だった。
そこには、自分で考えて、自分で決めて、自分で責任を持つという、**本当の意味での「人生の舵取り」**があった。
🔸第3章:守るべき価値は、思ったより少なくていい
私たちは、「大切なものを守ろう」とするあまり、いつの間にか「全部守る」モードに入ってしまう。
でも、それは心と身体にとって過剰な荷物になっていることもある。
私がこの数年で実感した「本当に守るべき価値」は、以下の3つだ。
① 自分の体と心の健やかさ
どんなに稼いでも、どんなに尊敬されても、健康を失えばすべて終わる。
年齢を重ねるほど、その重みは増す。
朝、起きて歩けること。ご飯を美味しく食べられること。眠れること。
それこそが人生最大の資産だと、私はいま本気で思っている。
② 自分の中にある「問い」を持ち続ける姿勢
人はすぐ「正解」を求めたがる。
でも、大事なのは「問いを持ち続けること」だと思う。
・自分は何のために働いているのか?
・誰の期待に応えようとしているのか?
・いま、どこに向かおうとしているのか?
問いがある限り、人は迷っていても進んでいる。
問いを持たなくなったとき、人生は「ただ消費するだけの時間」になってしまう。
③ 信頼できる人との小さなつながり
SNSで「いいね」されるより、たったひとりと本音で語り合えるほうが、100倍、心が温かい。
人数より「関係の質」。
「つながり方」のアップデートこそ、現代人の再優先課題だと思う。
🔸第4章:手放してよかった幻想リスト
この章では、私自身が実際に「手放してよかった」と感じた“幻想”を並べてみる。
幻想 | 手放した結果 |
---|---|
一生働ける会社にいれば安心 | 自分で稼ぐ力を育てた方が安心だった |
年収が上がれば幸せ | 必要以上の収入は、不安とストレスを招いた |
持ち家こそ正解 | 賃貸の自由が心地よかった |
家族と分かり合えるべき | “分からなくてもいい”と受け入れると楽になった |
多くの人に認められるべき | 自分が自分を認めれば、外の評価は気にならない |
🔸第5章:「誰にでも通用する幸せ」なんて存在しない
私たちは、つい「平均的な幸せ」を追いがちだ。
けれど、本当は誰一人として「同じ条件・同じ感性・同じ過去」ではない。
だから、「自分にとっての幸せ」を定義する必要がある。
- 週3日働ければ十分
- 月10万円で静かに暮らしたい
- 親との距離を大切にしたい
- 毎日コーヒーを淹れる時間が至福
その人にとっての幸せは、本人しか決められない。
🔸おわりに:「守る」には、まず「手放す」ことから始まる
私たちは、荷物を抱えすぎている。
- 社会的な役割
- 世間の目
- 過去の栄光
- 誰かの期待
- “こうあるべき”という思い込み
でも、これからの時代は、軽くなった者だけが、しなやかに生き残っていく。
守るために、まず手放す――。
それが、いまこの時代に生きる私たちに必要な「強さ」なのかもしれない。
















