なぜ金と銀は「下げ止まらなかった」のか?
― 暴落が“雪崩”に変わった本当の理由 ―
1月31日、金と銀は下落した。
しかし市場参加者を本当に震撼させたのは、
**「下がったこと」ではなく「止まらなかったこと」**だ。
通常、金は
- 一定水準で実需の買いが入る
- 安全資産として押し目買いが入る
ところがこの日は、
そうした“常識的な買い”がほぼ機能しなかった。
その理由は、単一ではない。
複数の売り圧力が“同時多発的”に重なったことで、
金銀は「調整」ではなく構造的な雪崩に変わった。
理由①
「次期FRB議長指名」で“買う理由そのもの”が消えた
2026年1月30日の次期FRB議長指名は、
金銀市場にとって単なる材料ではなかった。
それは、
「今後数年、金を持つ論理が成立しない可能性」
を突きつけるイベントだった。
- 利下げは近い → ❌
- 金利は下がる → ❌
- 実質金利は再び低下 → ❌
つまり、
👉 「下がったら買う」という判断基準が消滅した
これにより、
- 押し目買い勢が消え
- 下値で支える“人間の判断”がなくなった
結果、価格は真空地帯に落ちていった。
理由②
アルゴリズム取引が「人間の恐怖」を増幅させた
現代の金銀市場では、
価格形成の多くを**アルゴリズム取引(自動売買)**が担っている。
この日の特徴は明確だった。
- 重要サポートライン割れ
- ボラティリティ急拡大
- 金利・ドル指数との連動強化
これらはすべて、
**アルゴリズムが“売りを加速させる条件”**だ。
人間が
「そろそろ下げすぎでは?」
と考える前に、
👉 機械は
👉「トレンドは下」
👉「売りを上乗せ」
を淡々と実行する。
その結果、
価格は感情ではなく数式で叩き落とされた。
理由③
マージンコールによる「強制売却」の連鎖
ここが、下げ止まらなかった最大の実務的要因だ。
金・銀は先物・CFD・レバレッジ取引の比率が非常に高い。
急落が起きると何が起きるか?
- 証拠金維持率が低下
- 追加証拠金(マージンコール)発生
- 対応できない投資家は強制決済
👉 本人の意思とは無関係に
👉 「成行売り」が市場に叩き込まれる
これが一度始まると、
売りが売りを呼ぶ「負のスパイラル」
となり、
価格は合理性を失ったまま落ち続ける。
理由④
銀が先に崩れ、金を引きずり落とした
この日は、銀の下落が金の下落を加速させた。
銀は、
- 工業用途が多い
- 景気敏感
- 投機比率が高い
という特徴を持つ。
次期FRB議長指名
= 高金利長期化
= 景気へのブレーキ
この連想で、
👉 銀が先に崩壊
👉 「金銀同時安」の印象が強化
👉 金ETF・金先物にも売りが波及
結果、
「金だけは助かる」という期待も消えた
理由⑤
「安全資産」という言葉への信頼が壊れた
この日の市場で起きた、最も深刻な変化。
それは、
金=無条件に安全、という物語の崩壊
だった。
- 高金利が続く
- ドルが強い
- 米国債の利回りが魅力的
この環境では、
👉 金は「守り」ではなく「コストのかかる資産」
として扱われる。
一度この認識に切り替わると、
- 長期保有勢も揺らぐ
- 「とりあえず持つ」層が消える
結果、
下げ止まるための“信仰”が市場から消滅した。
総まとめ|下げ止まらなかったのは「理由が多すぎた」から
1月31日の金銀は、
- 次期FRB議長指名による前提崩壊
- 利下げ期待の完全消滅
- アルゴリズム売り
- マージンコール
- 銀主導の連鎖安
- 安全資産神話の崩壊
すべてが同時に起きた。
だからこそ、
「安いから買う」人が、誰もいなかった
これが、
**金と銀が下げ止まらなかった“唯一にして最大の理由”**だ。
