日本技術士会で、建設DXについて、話を聞いてきた。
1.建設業を取り巻く課題
・建設業の労働生産性は低い
・担い手不足、人手不足なのに「働き方改革」
・大量の構造物が老朽化、更新予算は限られている
・災害が激甚化
・安全性、死亡事故が多い(死傷事故率は全産業の2倍)
・最近は、コロナ禍
2.米国の取組み
・1980年代に建設業の労働生産性が低いことが問題視
・スタンフォード大学などでは、1980年代から、3次元CAD、データベース、ロボット、AI等のICTを応用することによって、建設分野の生産性の問題を根本的に解決しようとする研究が「統合化(Integration)」という名称で既に開始されていた。
・情報化施工(「AMC/AMG」海外ではこう記載、日本では「MC/MG」または「MG/MC」と記載。)
・BIMとは、ある程度標準化された3次元プロダクトモデルを様々なソフトウエア群が一元的に共有・活用しながら統合的に設計・施工・維持・管理をすすめていくという新しい仕事の方法。
3.日本の取組み
・2008年から情報化施工の推進
情報化施工では、3次元の現況地表と掘削・盛土の形状データが必要
・2012年からCIMの試行開始
佐藤直良氏(元国土交通省事務次官)がCIMを唱え、国交省で試行業務を実施
2018年から国交省でがBIM/CIM(Building/Construction Infomation Modeling,Management)と表記することにした。
計画、調査、設計段階から3次元モデルを導入することにより、その後の施工、維持管理の各段階においても3次元モデルを連携・発展させて事業全体にわたる関係者間の情報共有を容易にし、一連の建設生産・管理システムの効率化・高度化を図ること
・2016年からi-Construction施策開始
2015年11月、国交省はi-Constructionを発表
石井前大臣は、2016年を「生産性革命元年」と位置付け、「国土交通省生産性改革本部」を設置し、3つの施策を打ち出した。
①土木を対象としたIVTの全面的な活用(ICT土木)後に「ICT施工」
②コンクリートのプレキャストか(企画の標準化)後に「全体最適の導入」
③施工時期の平準化
・2020年インフラDX施策の開始
①新型コロナウィスル感染症対策を契機とした非接触・リモート型の働き方への転換と抜本的な生産性や安全性向上を図るため、5G等機関テクノロジーを活用したインフラ分野のDXを強力に推進。
②インフラのデジタル化を進め、2023年度までに小規模なものを除くすべての公共工事について、BIM/CIM活用への転換を実現。
③現場、研究所と連携した推進体制を構築し、DX推進のための環境整備や実験フィールド整備等を行い、3次元データ等を活用した新技術の開発や導入促進、これらを活用する人材育成を実施。
・BIM/CIMポータルサイト(試行版)
CDE(Common Data Environment)
・英国が打ち出した。「共通データ環境」
・プロジェクトの上流から下流まで、受発注者などのステークホルダー達が、クラウドで安全で効率的に正しくデータを共有できる環境の仕様
・データの仕様、流れなどを英国が標準化(BS-1192シリーズ)
・BS-1192シリーズの一部は、2019年初めに、ISO19650-1に。
日本は先んじて取り組んできたが、国際標準が英国から規定され、デファクトスタンダードを奪われたという印象を持つ。それだけ、英国の方が戦略的に取り組んでいる。
(お聞きした概要のみを記載していますので、詳しくはご講演をお聞きください。)