創業1年目は補助金対象外?知られざる”資金の谷”と乗り越える方法
起業を夢見て会社を立ち上げた瞬間、多くの人が希望と可能性に満ちた未来を思い描きます。しかし、その直後に訪れるのが「資金繰りの現実」。中でも、創業1年目に直面する“補助金の壁”は、多くの起業家が想定していなかった試練のひとつです。
この記事では、創業1年目に補助金がなぜ使えないのか、その背景と現実、そしてそれをどう乗り越えるかを、起業家の視点から深堀りしていきます。
補助金制度の落とし穴:「創業1年目は対象外」の現実
「補助金は創業を支える強い味方」——そう信じていた私に突きつけられたのは、“創業1年目は対象外”という非情な現実でした。
✅ 1. 大阪テイクオフ補助金:創業1年目は不可
大阪府が実施している「大阪テイクオフ補助金」は、革新的なスタートアップを支援する魅力的な制度です。しかし、対象は“創業2年目以降”であり、決算が終わっていない企業は申請資格を満たしません。
✅ 2. 持続化補助金創業型:特定事業認定が必要
「持続化補助金(創業型)」は、中小企業の販路開拓などに使える貴重な制度。しかし、自治体による「特定創業支援等事業」の認定が事前に必要です。これは創業前に受けておかないと意味がなく、後からでは取り返せません。
✅ 3. IT導入補助金:決算書類が必須
ITツール導入に使えるこの補助金も、直近の決算書類や納税証明書が求められるため、創業直後の企業は申請不可です。資金繰りの苦しい時期にこそ必要なのに、そのタイミングでは使えない。
補助金が使えないとどうなる?「資金の谷」に落ちる起業家たち
創業補助金が利用できないという事実は、収益が安定するまでの資金ショートリスクを意味します。
📉 収入ゼロでも出ていく経費
事務所家賃、仕入れ、人件費、広告費、そして社会保険料——起業してすぐにかかる固定費は容赦なく襲ってきます。売上がゼロでもこれらは待ってくれません。
💸 創業融資なしでは立ち行かない
現実的な選択肢は「日本政策金融公庫」などからの創業融資。しかし、これも事業計画書・面談・自己資金要件などハードルが高く、時間もかかります。
なぜ1年目は補助金対象外なのか?制度設計の矛盾
🤔 行政側の事情:不正防止と成果重視
創業初年度の企業に補助金を出すと、実態が伴わないケースや“補助金目当て”の起業が増えるリスクがある。そのため、制度設計上は**「決算後に審査する」=1期終了後**が前提になっているのです。
🚫 創業前に支援を受けておかないと申請不可
自治体による「創業支援認定事業」は創業前に参加が必要です。起業してから調べても**“もう遅い”**ことがほとんど。事前準備が命取りになります。
生き残るために、今できる5つの対策
補助金が使えないなら、どうやって創業1年目を乗り越えるのか?経験者だからこそ伝えたい「現実的なサバイバル術」をまとめました。
① 創業融資を最優先で準備する
・創業前から日本政策金融公庫に相談
・事業計画書のブラッシュアップ
・信用保証協会付き融資も検討
② 固定費を徹底的に削る
・自宅兼オフィスでコストカット
・外注よりもセルフ運用を基本に
・SNSやブログを活用し、広告費ゼロでも集客を
③ 営業と販路開拓を最優先に
・友人、知人のつてを全活用
・無料ツール(Instagram、LINE公式、メルカリショップ)を最大活用
・小さな実績でも積み重ねる
④ 申請できる助成金は全チェック
・ハローワークの「トライアル雇用助成金」
・地域独自の創業支援金(自治体に要確認)
・少額でも使える支援制度を拾い上げる
⑤ 今の「苦しみ」を、ストーリーにする
・創業1年目の“苦労話”は後に「信用」に変わる
・発信することで応援される土壌ができる
・ブログ、note、YouTubeなどで「記録=資産」に変換
経験から学ぶ:創業前にやっておけばよかった3つのこと
- 創業支援事業への参加
→ 自治体の制度をもっと早く調べておくべきだった - 専門家(商工会、支援機関)とのつながり
→ 相談先があれば補助金情報も先回りできた - 自己資金の確保
→ 融資が下りるまでの“半年分”は自己調達が必要だった
最後に:「今は耐えるしかない」——でもそれは一歩目だ
創業1年目に補助金が使えないという現実は、多くの起業家にとってショックな事実です。しかし、それを知った時点で“リスタート”のチャンスでもあります。
起業は「耐える力」が試されるゲームです。今はまだ結果が出なくても、その苦しみが後のブランドになります。
あなたの挑戦は、必ず誰かの希望になる。














