1人社長と失業保険のリアル:制度の壁と延長手続きの現場レポート
はじめに
「会社を辞めて起業したら、失業保険がもらえなくなる」
そんな噂を聞いたことはありませんか? 私自身、会社を辞めて「1人社長(法人代表)」として起業した直後、離職票をハローワークに持参し、思いがけない“制度の壁”に直面しました。
今回はそのリアルな体験をもとに、会社員から起業家(1人社長)へ移行した際の失業保険の取り扱いについて、制度と現実のギャップを比較しながら整理し、今後同じような道を歩もうとしている方への注意喚起を含めたブログを書いていきます。
1人社長になったら失業保険はどうなる?
一見すると「起業=自分で稼ぐ=失業じゃない」ように見えるため、失業保険とは無縁に思えるかもしれません。
しかし、実は「受給の延長制度」が存在します。一度起業したが廃業した場合や、当面は収入がゼロで再就職を希望している場合などには、失業保険の受給を**最長3年間延長(受給期間延長)**することが可能なのです。
ところがその申請には期限があることを、私は知らなかったのです。
実録:ハローワークでのやりとり
離職票を持って、意気揚々とハローワークの窓口へ。
しかし担当者の返答は冷たく、こう言われました:
「延長申請は“起業日から2ヶ月以内”に提出していただく必要があります。3ヶ月以上経っている場合、原則お受けできません」
起業や設立登記に追われて手続きが後手に回った私は、その“2ヶ月ルール”を過ぎており、門前払いに近い対応を受けました。
比較表:会社員 vs 1人社長の失業保険対応
項目 | 会社員(一般退職者) | 1人社長(起業者・法人代表) |
---|---|---|
離職票の扱い | 退職後、即提出→受給申請可 | 起業中は「就労中」扱い |
失業保険の受給申請 | 原則7日間の待機後に支給開始 | 起業中は受給NG、延長申請が必要 |
延長申請の期限 | 不要(すぐ申請すればOK) | 退職日(または起業日)から2ヶ月以内 |
延長期間 | 不要 | 最大3年まで延長可能 |
廃業した場合 | すぐ就職活動へ | 廃業届提出後に受給申請可 |
扱いの柔軟性 | 状況に応じて職員が相談対応可能 | 法人代表は“例外”扱い、形式重視 |
ハローワークの“ルール優先主義”
私が感じた最大のギャップは、「書類さえ揃っていても期限を1日過ぎたらアウト」という対応でした。
- 法人登記→口座開設→開業準備…と走り続けていた2ヶ月
- まさか、起業している間に“申請のカウントダウン”が始まっているとは
- 起業初期は売上ゼロでも「就労中」とされる
つまり、1人社長=失業状態ではない(=受給資格なし)と機械的に扱われるのです。
対策:延長申請を忘れないためのチェックリスト
- 離職票が届いたらすぐ開封&確認
- 起業届・法人設立届を出す前に延長申請の意思を固める
- ハローワークに行く前に電話で事前確認(窓口によって温度差あり)
- 延長申請は“起業から2ヶ月以内”が鉄則!
- 証拠資料(登記簿、代表者名義の契約書、売上なしの証明)も準備
“制度と現実”の間で起こること
制度上は「支給できない」でも、現実として多くの起業家は「収入ゼロからのスタート」。このギャップを埋めるには、制度理解+タイムラインの把握が必須です。
- 起業したら受給できないのか? → 延長すれば将来に備えられる
- 知らないとどうなる? → 数十万円が消える可能性あり
- 誰も教えてくれない? → ハローワークも基本的に“聞かれなければ答えない”
おわりに
私はこの経験を通じて、「制度は人を守るためにあるが、人に寄り添ってくれるわけではない」と痛感しました。
これから1人社長として起業される方には、離職票を手にしたその日から、“制度のカウントダウン”が始まっていると知ってほしいのです。
今はまだ廃業の予定はありませんが、万一の時のために延長申請はしておくべきだったと、深く後悔しています。














