カーボンニュートラルの達成のためには、一般住宅の耐熱性能を高め、屋根上に太陽光パネルを設置することが有効。まず、省エネとして、ZEB、ZEHの設置が欠かせない。
日本の住宅の耐熱性能は欧米の住宅と比べて極めて低い。北海道などの冬に寒い地域は断熱性能を意識している。北海道のイノベーション事例のお話の中で、北海道はそもそも断熱性能が高い家が多いが、老齢化により、雪下ろしが難しくなってきた方々も多く、断熱性能の高い集合住宅を建設し、そこで暮らすという新規ビジネス、街づくりの紹介があった。
電力は夏の高い気温を冷やすためのエアコンと冬の寒い気温を温める暖房に大きなエネルギを使うが、特に冬の電力需要は大きくなりがちである。
そもそも家のエネルギー効率を日本の住宅は購入時には示さないが、比較的寒いドイツなどではエネルギー効率を示さない住宅は少ないらしい。
日本の住宅には、断熱性能という議論を敢えて、押し隠している部分もある。勿論、建設会社の中には、断熱性能を強く推奨する住宅も少なくない、外断熱を売りにするハウスメーカーも存在する。高断熱の家では、家中、1台のエアコンで十分であるとの強気の発言もある。要は省エネルギー性である。
加えて、太陽光パネル設置による再生可能エネルギーの利用は有効である。
私の自宅も太陽光パネルを設置しているが、電気代は殆どかからず、FITが高い値段の時に建設した住宅であるため、むしろ売電収入がある。
屋根上太陽光パネルは、既築住宅への適用には十分な配慮が必要である。注意点は多くあるが、太陽光パネルは、平均荷重は小さいものの、重量自身はかなりの重さになるため、構造計算が欠かせない。要は、太陽光パネルを設置しても、耐震性能が落ちないことが重要である。
住宅への嗜好はいろいろあるが、太陽光パネルの設置を考えると、片流れの屋根に、金属屋根を設置し、その上に太陽光パネルを敷き詰めた方が、構造上も安心だと思われる。
洋上風力発電やバイオマス発電が注目を集めているが、既存の技術としては、太陽光パネルが低コストで有効である。かつては日本のメーカーが上位を占めていたが、今や太陽電池のメーカーはほぼ中国が独占している。政策の失敗なのか、生産性の違いなのかは、分からない。
期待の水素やアンモニア発電であるが、まだまだ価格競争力を得られるところまでは、達していない。
また別途解説をしていきたいが、水素価格30円/N㎥の最低採算ラインまで、持ってくることはまだまだ難しい。需要を喚起しないと価格が下がらないので、今後の需要に期待するしかない。
資源のないわが国で、発電電力源として水素に期待が集まっていることは事実である。
水素を取り出す触媒は、現時点では不明である。京都大学は、新しい触媒の候補を発表している。
このテーマは大きなテーマなので、何回かに分けて、現状を紹介していきたい。