プロジェクトマネジメントと開発遅延が起こる理由を学んできました。
上記PMBOX(Project Management Body of Knowledge)」は6版で運用されていましたが、2021年に第7版が発行されています。
主な普遍的な中身は第6版を中心にお知らせし、最後は第7版についてお知らせします。
「プロジェクト」とは、「独自のプロダクト、サービス、所産(Result)を想像するため、有期性のある業務」です。
「マネジメント」とは、「組織に成果をあげるための道具、機能、機関」
プロジェクトの特徴は以下の取り。
・独自性 定常的なルーチンワークではない
・有期性 始まりと終わりが存在する
・一時的な組織形態 固定的ではなく、一時的な組織形態
プロジェクトマネジマントの各フェーズは以下の通り。(特に始めと終わりが肝心)
立ち上げ→計画→実行→完了
①立ち上げ
・開発目的とゴールの設定
・開発内容を企画
・開発チームを設立
・予算を決定
②計画
・何を作る?
・費用は?
・納期は?
・進め方は?
③実行
・設計開発
・評価
・量産立ち上げ
④完了
・プロジェクト成果の確認
・プロジェクトの振り返り
・費用清算
・開発チームの解散
開発遅延が起きる理由は以下の2つ
①(立ち上げ含め)計画が不適正
②(実行時の)想定外への準備が不適切
具体的な事例は以下の通り。
①計画が不適切
・そもそも実現が不可能なことをやろうとしている
・出すべき成果に対して、必要となる実施項目の抽出が不適切
・必要な項目を実施するための準備やリソースが不適切
・準備や実施に必要な期間設定が不適切
②想定外への準備が不適切
・人の動き:担当者の入れ替わり、上司からの鶴の一声
・モノの動き:システムの不具合、性能不足、要求未達
・お金の動き:為替の変動、予算削減
・外部環境:気象、天変地異
適切なコストを見積もるポイントは以下の通り。
①プロジェクトの採否は経済性採算制で判断する
②経済性採算性は初期投資だけではなく、ライフサイクル全体を考える
(最終年度に、意外とコストがかかる)
適切なスケジュールを作るポイントは以下の通り。
①想定外が起こっても対応が取れ、納期を守ることが出来る。(余裕やバッファが必要)
②スケジュールは全体枠から決めていき、中間点(マイルストーン)を決め、詳細を決める
(参考)ウォーターフォール型とアジャイル型
①ウォーターフォール型
・プロジェクトのスコープ、タイム、コストを初期フェースで決定し、計画通りに進めることを重視(大規模システム改定、建設プロジェクトなど)
②アジャイル型
・ステークホルダー(顧客などの利害関係者)を巻き込んで、変化に追随しつつプロジェクトを進める
・プロジェクトの成果物の定義が容易でないプロジェクトで、ステークホルダーに分割的な価値の提供が出来る場合に適している。(ITソフトの開発など)
プロジェクトの遅延を防ぐには人の特性にも注目する。
①パーキンソンの法則
・与えられた時間はすべて使い切る→ギリギリで終わる時間を設定する。バッファは全体で別途設定する。
②学生症候群
・後回しにする→早く終えたことにインセンティブを与える
プロジェクトを進めるときの管理項目(PMBOKガイド(第6版))
①統合(全体管理)
②スコープ
③スケジュール
④コスト
⑤品質
⑥資源(人的資源、物的資源)
⑦コミュニケーション
⑧リスク
⑨調達
⑩ステークホルダー
PMBOK第7版が2021年に発行され、内容が大きく変化している。変化している点は以下の通り。
①第6版までは、HOW、TO本だったのが、第7版では、原則に変わった。
・ウォーターフォールに適したプロセスベース(手法)の思想から、アジャイルに適したプリンシプルベース(原理原則)に進化した
・具体的な行動指針として12のプリンシプルを掲げた
②単なるプロジェクトではなく、複数のプロジェクトを総括して管理するプログラムマネジメントに視野を広げ、さらに経営資源の最適配分を行うプロダクトポートフォリオマネジメント(PPT)まで対象を広げている
③ハウツー(Body of Kowledge)はデジタルコンテンツとして利用する方式に変更
PMBOKガイド第7版の12の行動原理は以下の通り。
12の行動原則 | 概要 | |
1 | スチュワードシップ | 勤勉で、敬意を払い、面倒見の良いスチュワードであること |
2 | チーム | 協働的なプロジェクトチーム環境を構築すること |
3 | ステークホルダー | ステークホルダーと効果的に関わること |
4 | 価値 | 価値に焦点を当てること |
5 | システム思考 | システムの相互作用を認識し、評価し、対応すること |
6 | リーダシップ | リーダシップを発揮すること |
7 | テーラリング(対応) | 状況に応じて、テーラリング(対応)すること |
8 | 品質 | プロセスと成果物に品質を組み込むこと |
9 | 複雑さ | 複雑さに対応すること |
10 | リスク | リスク対応を最適化すること |
11 | 適応性と回復 | 適応力と回復力を持つこと |
12 | チェンジ(変革) | 想定される未来の状態を達成するために変革できるようにすること |
(参考)プロジェクト管理ツール
①Microsoft Project(最新版はアジャイルにも対応)
②SI Object Browser PM(OBPM Neoに)
③Being Manegemat 3(CCPM(バッファマネジメント)対応の国産プロジェクト管理ソフト)
私もかつて、プロジェクトマネジメントをしていて、納期に遅れがちになり、強引に終了をさせた経験を持っている。事前に余裕の持った計画を文章で共有することが、大事だと感じる。
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