一人会社の法人決算を自分でやってみた|会計ソフトで電子申告まで1日で完了

転職か、起業か

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一人会社の法人決算を自分でやってみた|会計ソフトで電子申告まで1日で完了

◯◯株式会社は9月末決算である。

だから10月に入ったら、いよいよ決算をやらなければならないと思っていた。

会社を作ってから、毎月の経理は会計ソフトを使って自分でやってきた。しかし、「日々の経理」と「法人の決算・申告」は、私の中ではまったく別物だった。

法人税。

地方税。

決算書。

勘定科目内訳明細書。

法人事業概況説明書。

名前を見ているだけでも、なかなか強そうなメンバーが並んでいる。

だから私は、10月はかなりの時間を決算に取られるだろうと思っていた。

ところが――。

終わってしまった。

しかも、ほぼ1日で。

国税への申告だけではない。

都道府県税、市町村民税まで、会計ソフトの画面に従って作業を進めていったら、電子申告まで終わってしまった。

「えっ、もう終わり?」

というのが、終わった直後の感想だった。

そして、その次に出てきた感想が、

「ちょっと待て。もっとよく見たほうが良かったんじゃないか?」

だった。

会社の決算は「大仕事」だと思っていた

会社員だったころ、「会社の決算」という言葉には、とても大掛かりなイメージがあった。

経理部門があって、数字を集めて、チェックして、税理士や会計士とも相談して……。

そんな世界を想像する。

ましてや、自分の会社である。

間違えたら誰かが直してくれるわけではない。

私は一人社長なので、

社長も私。

経理担当も私。

総務担当も私。

そして申告担当も私である。

「経理部長、これ合っていますか?」

と聞いたところで、

「社長、どうでしょうね?」

と答えるのも私である。

なかなか頼りない会社だ。

だから9月末に会計年度が終わってから、10月にじっくり決算を整理して、11月の申告期限に間に合わせればいいと考えていた。

ところが実際には、会計ソフトが猛烈に働いてくれた。

会計ソフトの進化に驚いた

今回、自分で法人決算を進めて改めて感じたのは、クラウド会計ソフトの進化である。

日々の仕訳がある程度きちんと入力されていれば、そのデータをもとに決算書が作られる。

そこから法人税申告に必要な情報を入力していく。

質問に答える。

数字を確認する。

必要な項目を埋める。

すると申告書が作られていく。

さらに電子申告へ進む。

国税が終わる。

次は地方税。

都道府県税。

市町村民税。

昔なら、それぞれの仕組みや書類を調べるだけでもかなり時間が必要だったのではないだろうか。

それが一つの流れとしてつながっている。

これはすごい。

AIの進化について毎日のように考えている私だが、考えてみれば会計の世界でも「人間が制度を覚えて、書類を一枚ずつ作る」という仕事が猛烈な勢いでソフトウェアに置き換わっている。

そして今回、私はその恩恵を真正面から受けた。

ところが「簡単すぎる」という問題が出てきた

便利なのだから喜べばいい。

ところが、人間は面白いものである。

大変なら、

「もっと簡単にならないのか」

と思う。

簡単になると、

「こんなに簡単で大丈夫なのか」

と思う。

勝手なものだ。

今回の私は、完全に後者だった。

画面の案内に従う。

数字を入れる。

「次へ」を押す。

確認する。

電子申告する。

送信完了。

また次へ。

あまりにもスムーズなので、作業を前へ進めること自体が目的になってしまったような気がする。

だから終わったあとに思った。

「もっと一つ一つの数字を見れば良かったな」

と。

本当は申告前に確認すべきことがある

会計ソフトが申告書を作ってくれたとしても、元になる数字を作っているのは自分である。

ここは重要だと思う。

ソフトが計算を間違えなくても、

元データが間違っていれば、当然結果も間違う。

例えば、

売上の計上漏れはないか。

経費の勘定科目は適切か。

未払金や売掛金は正しいか。

固定資産の処理は合っているか。

減価償却は適切か。

役員借入金などの残高は合っているか。

期末の現預金残高と実際の銀行残高は一致しているか。

棚卸資産は正しく計上されているか。

こうしたところは、やはり申告ボタンを押す前に、一つずつ確認しておくべきだったと思う。

申告が終わってから気付くのだから、いかにも私らしい。

「自動化」と「正しい」は同じではない

これは会計だけの話ではないと思う。

AIも同じである。

ChatGPTに文章を書かせれば、数秒でそれらしい文章が出てくる。

表計算ソフトなら大量の数字を瞬時に計算してくれる。

会計ソフトなら決算書や申告書まで作ってくれる。

便利な時代になった。

しかし、

自動的に作られたことと、内容が正しいことは別問題である。

ここは、これからますます重要になる気がする。

昔は「作る能力」が価値だった。

これからは、

「出来上がったものが正しいか判断する能力」

の価値が高くなるのではないだろうか。

これはAI時代の仕事そのものかもしれない。

ひとり社長には、ものすごい時代になった

それにしても、今回の経験で強く感じたことがある。

一人で会社を経営するハードルは、昔より相当下がっている。

会社設立。

銀行。

請求書。

会計。

給与計算。

社会保険。

税務申告。

ネット販売。

マーケティング。

そして生成AI。

昔なら何人もの社員や外部専門家が必要だった仕事のかなりの部分を、一人で処理できる環境ができている。

私の会社も一人会社である。

売上という最大の問題は、残念ながら会計ソフトでは解決してくれない。

ここだけは「次へ」を押しても売上が出てこない。

世の中、そこまで甘くなかった。

しかし逆に言えば、小さな会社ほどテクノロジーを使う意味は大きい。

社員10人の会社が作業時間を10%削減することも重要だが、一人会社で自分の時間を半日、1日、3日と削減できる効果は非常に大きい。

社長の時間そのものが、会社の経営資源だからだ。

会計ソフト代を「高い」と見るか

クラウド会計ソフトには当然利用料がかかる。

一人会社を経営していると、こういう固定費は結構気になる。

売上が少ないと、なおさらである。

「この年間利用料、高いなあ」

と思うこともある。

しかし今回、決算から電子申告まで自分でできたことで、少し見方が変わった。

もし全部自分で調べながら書類を作るなら、相当な時間が必要になる。

税理士に決算申告を依頼すれば、もちろん費用が発生する。

それと比較すると、日常会計から決算、申告まで一つにつながっている価値はかなり大きい。

ただし、ここには条件がある。

「ソフトを使えば何も考えなくていい」わけではない。

むしろ便利になればなるほど、自分が何をやっているのか理解する必要があると思う。

来年の決算ではチェックリストを作ろう

今回の反省を来年に生かしたい。

次回は申告前に、最低でも次のようなチェックをしたいと思う。

・銀行残高と帳簿残高の一致
・売掛金、未払金などの残高確認
・役員借入金など貸借対照表項目の確認
・棚卸資産の確認
・固定資産、減価償却の確認
・売上、仕入、経費の異常値確認
・前年度との比較
・損益計算書の最終確認
・貸借対照表の最終確認
・法人税等の計算結果確認
・申告書をPDFなどで保存して最終確認
・納税額と納付期限の確認

そして、

「電子申告ボタンを押すのは翌日」

くらいでもいいのかもしれない。

一晩置いて、翌朝もう一度見る。

文章を書くときにも同じことがある。

書いた直後には気付かなかった間違いが、翌朝読むと一瞬で分かる。

決算も同じなのかもしれない。

それでも「自分で決算できた」のは大きい

少し反省は残った。

でも、自分の会社の決算を自分でやって、申告まで進められたことは大きな経験になった。

会社を経営するということは、売上を作るだけではない。

税金。

社会保険。

会計。

契約。

登記。

資金繰り。

知らなければならないことが、本当にたくさんある。

私は会社員生活が長かった。

会社員だったころは、それぞれを担当してくれる部署があった。

会社を自分で経営して初めて、

「あれも会社がやってくれていたのか」

「これも誰かが処理してくれていたのか」

と気付く。

一人会社を経営すると、会社という仕組みそのものが少しずつ見えてくる。

これは面白い経験でもある。

決算が終わった。でも本当の問題はここから

そして最後に、一番大事なことを書いておかなければならない。

決算書を作ることが会社経営ではない。

申告を終えることが会社経営でもない。

売上を作ること。

結局、ここに戻ってくる。

会計ソフトがどれほど進化しても、売上そのものを勝手に作ってくれるわけではない。

今回、決算をして会社の数字を改めて見ることになった。

厳しい数字もある。

情けなくなる数字もある。

でも決算とは、会社の一年間の成績表でもある。

成績表を見ないふりをしても、会社は良くならない。

だから今回の決算を「申告が終わった。やれやれ」で終わらせるのではなく、

次の一年をどうするかを考えるスタート地点にしたい。

会計処理に使う時間がテクノロジーによって減ったのなら、その時間を売上を作るために使えばいい。

商品を考える。

サービスを考える。

ブログを書く。

AIを使う。

営業する。

新しい事業を試す。

失敗したら、また考える。

そう考えると、1日で決算申告が終わったことには、単なる「便利になった」以上の意味がある。

経営者が事務作業から解放されて、本来やるべき仕事へ戻れる時代になっているのかもしれない。

ただし――。

来年は、申告ボタンを押す前にもう少し数字を眺めよう。

今回の決算で得た最大の教訓は、

「簡単にできることと、簡単に済ませていいことは違う」

ということだった。

便利な時代だからこそ、最後は人間が確認する。

AI時代、クラウド時代の一人会社経営では、案外それが一番大切なのかもしれない。

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