
当事者意識で未来を切り拓く
――「問題は我にあり」と気づいた日のこと――
目次
- プロローグ──“他責”からの卒業
- 当事者意識研修とは何だったのか
- 「問題は我にあり」の哲学
- 人はなぜ逃げるのか──心理学的メカニズム
- 私のビフォー&アフター
- 職場を変える“セルフ・リーダーシップ”実践法
- 交流分析(TA)で読み解く心の脚本
- ケーススタディ:チームが回り始める瞬間
- 2025年のいま、改めて当事者意識を問う
- エピローグ──歩みを止めないために
1. プロローグ──“他責”からの卒業
「誰のせいでこうなった?」
――会議室に漂うピリピリした空気。かつての私は、心のどこかで“自分じゃない誰か”を探しながら机に向かっていた。
転機は十数年前、産能大学で開かれた武島一鶴先生の「当事者意識研修」だった。講義の冒頭、先生はこう問いかけた。
“君は、君の人生の観客で終わるつもりか?” gooブログ
その一言が胸に突き刺さり、今に至るまで私の行動規範となっている。
2. 当事者意識研修とは何だったのか
2-1 プログラムの骨子
- **交流分析(TA)**をベースにした心理ワーク
- “問題は我にあり”という信念を体得するロールプレイ
- 研修後90日間のフォローアップミッション
昭和期から続くこの研修は、管理職候補に限らず学生から社長まで受講者層が幅広い。要は「自分の人生を動かすハンドルは自分が握るしかない」というシンプルな真理を、徹底的に身体で覚えさせる仕組みだった。アメーバブログ(アメブロ)
2-2 タイトルより中身
当時の私は“当事者意識”という言葉すら耳新しかったが、演習を通じて**「責任」と「自由」はワンセット**だと痛感する。逃げ道を塞がれたとき初めて、人は“本気”に火が付くのだ。
3. 「問題は我にあり」の哲学
- 主語を“自分”に戻す――議論が行き詰まったら、必ず主語を「私」に戻してみる。
- 現象と解釈を分ける――起きた事実と感情を仕分けすることで、感情の奴隷にならず建設的に動ける。
- 自責≠自罰――自分を責めるのではなく、自分で“責”を引き受けること。
4. 人はなぜ逃げるのか──心理学的メカニズム
4-1 防衛機制としての“投影”
失敗や不安を他人に映し出すことで心の均衡を保とうとする。
4-2 学習性無力感
「どうせ変わらない」という繰り返しの経験が行動を麻痺させる。
4-3 自己効力感と当事者意識の相関
行動→小さな成功→自己効力感上昇→さらに行動、というポジティブスパイラルを回す鍵が“当事者意識”.
5. 私のビフォー&アフター
研修前 | 研修後(現在) | |
---|---|---|
口グセ | 「でも…」「だって…」 | 「まずやってみる」 |
プロジェクトへの姿勢 | 指示待ち・評論家 | 旗振り役・オーナーシップ |
評価面談 | 「協調性△」 | 「リーダーシップ◎」 |
数字で見ると劇的だが、実際は**“逃げたい”という内なる声と折り合いを付ける**日々の地道なプロセスだった。
6. 職場を変える“セルフ・リーダーシップ”実践法
- 24時間以内に動く――アイデアは“熱いうち”が勝負。
- 小さな約束を守り切る――メール返信ひとつでも期日を死守する。
- 可視化する――議事録・タスクボードで責任の所在を明らかに。
- 巻き込む――「私はこうしたいが、力を貸してくれないか」と宣言する。
- 振り返る――週1で“自分レビュー”を実施。PDCAを自分に適用。
7. 交流分析(TA)で読み解く心の脚本
武島先生の研修でも引用されたTAの視点では、人は幼少期に形成した**“脚本”**どおりに無意識の行動を繰り返す。
- **CP(批判的親)**が強いと他責に走りがち
- **A(成人)**を鍛えると現実的な問題解決に集中できる
当事者意識とは、CPやAC(順応する子供)ではなくAの領域で生きることでもある。
8. ケーススタディ:チームが回り始める瞬間
Situation
新規サービスのUI刷新プロジェクト。メンバーは若手中心で責任の押し付け合いが常態化。
Turning Point
“主語を私に”ワークショップを実施し、各自が「私は〇〇をやります」と一言で宣言。
Outcome
- 意思決定が3倍速
- リリース予定を2週間前倒し
- 社内NPSが+18→+62
“当事者は加速する”という法則を目の当たりにした出来事だった。
9. 2025年のいま、改めて当事者意識を問う
リモートワーク、生成AI、ジョブ型雇用――環境は激変し続ける。だがその中核にあるのは相変わらず**“人間の主体性”**だ。
- 生成AI時代のリスク:AIの助言に従うだけでは易きに流れる
- キャリアの自律:会社がキャリアを保証しない時代、自分のハンドルを他人に渡す余裕はない
- 社会課題への参画:温暖化・少子高齢化など“誰かが何とかする”では手遅れ
当事者意識はもはや個人のスキルではなく、未来社会をデザインする共通言語になりつつある。
10. エピローグ──歩みを止めないために
研修の日から今日まで、完璧に“当事者”でいられたわけではない。
時に逃げ、時に言い訳をし、それでも「問題は我にあり」と唱え続けてきた。
主体的であり続けることは筋トレと同じ。サボれば落ちるし、続ければ確実に強くなる。
あなたがこの記事を読み終えた瞬間から、世界は少しだけ変わる。なぜなら、あなたが“読む”という行動を選択した当事者だからだ。
だから、次の一歩を踏み出そう。私も、あなたも。
















