
会社を作ったけど売上ゼロ|起業して初めて分かった「0から1」の難しさ
はじめに|「結局、何もできなかったな」と思った
今月末、会社の締め日を迎える。
その言葉だけを見ると、
「一年間、会社を経営してきたんだな」
と、少し達成感があってもよさそうなものだ。
でも、今の自分の中にある感情は、それとは少し違う。
本当に何もできなかった気がする。
これが一番近い。
思うように売上が立たなかった。
新しく始めようと思ったことも、なかなか形にならなかった。
途中からは会社のことを、かなりほったらかしにしてしまった。
そして締め日が近づいてきて、ようやく、
「さすがにやらないといけない」
と動き始めた。
領収書を確認する。
経費を整理する。
口座を確認する。
必要な書類を集める。
数字を見る。
こうして会社の一年を振り返ってみると、嫌でも現実と向き合うことになる。
そして改めて感じた。
1からビジネスに参入するということは、本当に難しい。
今日は成功した話ではない。
むしろ、その逆だ。
売上が立たず、思うように行動できず、「自分はこの一年、何をやっていたんだろう」と感じながら会社の締めに向かっている、そんな話を書いてみたい。
会社を作れば、何かが始まると思っていた
会社を始めるときというのは、少なからず期待がある。
会社という箱を作る。
事業を考える。
サービスを考える。
名刺を作ったり、ホームページを考えたり、銀行口座を用意したりする。
そうすると、なんとなく、
「これからビジネスが始まる」
という気持ちになる。
でも、実際にやってみて痛感した。
会社を作ることと、ビジネスを作ることは、まったく別だった。
法人が存在しているからといって、お客さんが来てくれるわけではない。
ホームページを作ったからといって問い合わせが入るわけでもない。
良いサービスを考えたからといって、誰かが勝手に見つけてくれるわけでもない。
結局のところ、
「誰の、どんな悩みを解決するのか」
「なぜ自分から買ってもらうのか」
「どうやってその人に存在を知ってもらうのか」
「どうやって最初の一件を獲得するのか」
ここまで考えて動かなければ、売上にはつながらない。
当たり前のことなのかもしれない。
しかし、自分でゼロからやってみると、その「当たり前」の難しさが身に染みる。
売上ゼロという現実は、想像以上に重かった
ビジネスでは売上が数字として出る。
これが厳しい。
会社員なら、自分の仕事がどれくらい売上につながっているのか分からないことも多い。
会社に行き、仕事をして、月末になれば給与が振り込まれる。
ところが自分でビジネスを始めると違う。
何時間考えても、
売上0円。
ホームページを作っても、
売上0円。
新しいアイデアを考えても、
売上0円。
勉強しても、
売上0円。
「頑張った」という気持ちと、売上という数字が一致するとは限らない。
これが想像以上に精神的にきつかった。
「こんなに考えたのに」が通用しない
自分では結構考えている。
調べてもいる。
「こういうサービスなら需要があるかもしれない」
「これを組み合わせたらビジネスになるんじゃないか」
そんなことを頭の中では何度も考える。
しかし、考えているだけでは1円にもならない。
商品を作る。
発信する。
人に会う。
提案する。
断られる。
修正する。
もう一度提案する。
この繰り返しの中で、ようやく最初の売上が生まれる。
そのスタートラインまでたどり着くこと自体が難しいのだと思う。
なぜ会社を「ほったらかし」にしてしまったのか
今振り返ると、会社をほったらかしにしてしまった理由も少し分かる。
単純に怠けていた、と言ってしまえばそれまでかもしれない。
でも、それだけではなかったと思う。
何をすれば正解なのか分からなくなっていた。
これが大きかった。
ビジネスを始めると、やれることはいくらでもある。
SNSを始める。
ブログを書く。
営業する。
ホームページを改善する。
広告を出す。
新商品を作る。
資格を取る。
人脈を作る。
動画を始める。
AIを活用する。
本当にいくらでもある。
だからこそ、
「結局、何からやればいいんだ?」
となる。
選択肢が多すぎると、逆に人間は動けなくなる。
そして一日延ばす。
一週間延ばす。
一か月延ばす。
そのうち会社に関する書類を見ることさえ、少し嫌になってくる。
売上が上がっていれば会社の数字を見ることは楽しいのかもしれない。
でも売上が立っていない状態で数字を見ると、現実を突きつけられているような気持ちになる。
だから距離を置く。
さらに状況が分からなくなる。
もっと嫌になる。
そんな悪循環に入っていた気がする。
そして会社の締め日がやってきた
そんな状態でも時間だけは進む。
会社を動かしていても、止めていても、決算期はやってくる。
今月末が締め日。
さすがに何もしないわけにはいかない。
ようやく重い腰を上げて、会社を締めるための準備を始めた。
久しぶりに会社関係の書類を整理する。
銀行口座を確認する。
領収書を見る。
経費を整理する。
必要なものを確認する。
正直、もっと早くやっておけばよかったと思う。
毎月少しずつ整理していれば、こんな気持ちにはならなかった。
でも、今さら過去には戻れない。
だったら、
今からやるしかない。
会社経営をしていると、こういうことの繰り返しなのかもしれない。
1からビジネスに参入するのは、本当に難しい
今回、改めて感じたことがある。
既存の会社が新しい商品を出すのと、何もないところから一人でビジネスを始めるのとでは条件が全然違う。
既存企業には、
顧客がいる。
信用がある。
実績がある。
資金がある。
人がいる。
営業ルートがある。
取引先がある。
ブランドがある。
しかし、ゼロから始める人には、そのほとんどがない。
商品を作るだけではダメ。
信用も作らなければならない。
お客さんも探さなければならない。
情報発信もしなければならない。
営業もしなければならない。
経理もしなければならない。
そして結果が出なくても、自分自身で次の一手を考えなければならない。
「1から始める」という言葉は簡単だけれど、本当に1から始めてみると、その数字の重さが分かる。
0から1。
たった「1」増やすだけなのに、ものすごく遠い。
それでも「何もできなかった一年」ではなかったのかもしれない
ここまで書いていて、少し考えが変わってきた。
最初は、
「本当に何もできなかった」
と思っていた。
確かに売上という意味では結果を出せなかった。
行動量も足りなかった。
もっとできたことはあったと思う。
これは認めるしかない。
でも、
「何もできなかった」と「何も学ばなかった」は違う。
会社を作ってみなければ分からなかったことがある。
ビジネスを考えてみなければ分からなかったことがある。
売上が立たない苦しさも、自分でやってみなければ分からなかった。
動けなくなる自分の癖も分かった。
「アイデア」と「商売」は違うことも分かった。
会社を維持するだけでも事務作業が必要だということも分かった。
そして何より、
自分が想像していた以上に、商売というものは難しい。
これを体感できた。
本を100冊読んでも得られない経験だったのかもしれない。
売上が立たなかった理由を、感情ではなく分解してみる
ここからは少し冷静に考えたい。
「自分には才能がない」
「ビジネスに向いていない」
そう結論づけるのは簡単だ。
でも、それでは次につながらない。
売上が立たなかったのであれば、その原因を分解した方がいい。
例えば、
①商品が明確だったか。
「何を売っている会社なのか」を10秒で説明できただろうか。
②誰がお客さんなのか明確だったか。
「みんなに使ってほしい」は、実質的には誰にも刺さらない可能性がある。
③お客さんに接触した回数は十分だったか。
営業を10件して売れなかったのと、営業そのものをしていないのとでは原因が違う。
④お客さんの悩みを聞いたか。
自分が売りたいものと、お客さんがお金を払って解決したいことは一致していただろうか。
⑤改善を繰り返したか。
一度作って反応がなかったものを、そのまま放置していなかったか。
こう考えると、「売上が立たなかった」という一つの結果にも、いくつもの原因がある。
原因を細かくすれば、次にやることが見えてくる。
次は「大きく成功する」ではなく「最初の1円」を考える
最初から月商100万円を目標にすると、あまりにも遠く感じる。
だから次は、もっと小さく考えてみようと思う。
まず1円でも、自分のビジネスから売上を作る。
100円でもいい。
1,000円でもいい。
1万円ならもっといい。
大切なのは金額より、
「知らない誰かが、自分が提供した価値にお金を払ってくれた」
という事実だと思う。
0円と1円の間には、とても大きな壁がある。
1円を作ることができれば、
「なぜ買ってくれたのか?」
を分析できる。
そして同じことを10回できれば10になる。
改善して単価を上げれば100になる。
そこから初めてビジネスらしいものが見えてくる。
これからやること|ビジネスを複雑にしない
今回の経験から、次に動くときにはできるだけシンプルにしたい。
最初に決めるのは、
「誰の、何の問題を、どうやって解決するのか」
これだけ。
そして完璧な商品を作ってから売るのではなく、まず需要があるかを確認する。
話を聞く。
小さく提案する。
反応を見る。
ダメなら変える。
もう一度提案する。
このサイクルを早くする。
ホームページを完璧にすることより、一人のお客さんと話す方が重要な時期もある。
ロゴを考えるより、一件営業する方が重要な時期もある。
勉強するより、商品を出した方がいい時期もある。
「準備してから始める」のではなく、「始めながら準備する」。
次はこれを意識したい。
経営で動けなくなったときの「1日3つルール」
そしてもう一つ。
自分のように何をすればいいか分からなくなって動けなくなる人は、やることを減らした方がいいと思う。
一日にやることは3つだけ。
たとえば、
- 見込み客を一人探す
- 一件提案する
- 会社の事務作業を一つ処理する
これだけでもいい。
10個のTODOを書いて全部できずに自己嫌悪になるより、3個終わらせて翌日につなげる。
ビジネスは一日で完成するものではない。
毎日少しずつ前に進めばいい。
そして一週間後に、
「何件提案したか」
「何人と話したか」
「何が反応されたか」
という行動の数字を見る。
売上だけを見るのではなく、売上につながる行動をどれだけ行ったかを見る。
これは次の一年で試してみたい。
会社の締め日は「反省の日」ではなく「区切りの日」
会社の締め日が近づいてきて、最初は気が重かった。
できなかったことばかり考えていた。
「あれもできなかった」
「これもできなかった」
「結局、売上も立たなかった」
考えれば考えるほど嫌になる。
でも、会社の締め日は裁判の日ではない。
ただの区切りだ。
一年間の数字を確定して、次の一年へ進むための日。
だったら、必要以上に自分を責めても仕方がない。
もちろん反省は必要だ。
でも反省と自己否定は違う。
必要なのは、
何ができなかったのか。
なぜできなかったのか。
次はどう変えるのか。
この3つを整理することだと思う。
「失敗した」のではなく「一回やってみた」と考える
ビジネスの世界では、成功した人の話が目立つ。
「起業して半年で月商100万円」
「副業から独立しました」
「SNSだけで集客できました」
そんな情報を見ると焦る。
自分だけ取り残されているような気持ちになる。
でも実際には、うまくいかなかった人の方が圧倒的に多いのではないだろうか。
そして、うまくいかなかった経験はSNSにはなかなか投稿されない。
だから成功ばかりが目に入る。
自分も今回、
「会社を作ったのに売上を作れなかった」
という結果になった。
それでも、一度実際にやってみた。
これはゼロではない。
次に何かを始めるとき、自分はもう「会社を作ったことがない人」ではない。
売上ゼロの苦しさを知らない人でもない。
経理を放置すると後で大変になることも知っている。
動けなくなる時期があることも知っている。
この経験は、次の挑戦では確実に使える。
何もできなかったと思った日に、ブログを書く
そして今日、自分がやったことがもう一つある。
この文章を書いたことだ。
売上にはならないかもしれない。
誰にも読まれないかもしれない。
でも、自分が何を考えていたのかを残すことはできる。
いつかビジネスがうまくいったとき、この文章を読み返したらどう思うだろう。
「あの頃、本当に悩んでいたな」
と笑えるかもしれない。
逆に、また別の壁にぶつかっているかもしれない。
それでもいい。
人生もビジネスも、完成した状態だけを残す必要はないと思う。
うまくいかなかった途中経過にも意味がある。
だから、このブログでは成功した話だけではなく、失敗した話も残していきたい。
まとめ|今月は、まず会社をしっかり締める
今月末が会社の締め日だ。
まずは、ここをしっかり終わらせよう。
売上が立たなかったことも受け入れる。
動けなかった自分も受け入れる。
放置してしまったことも反省する。
そして必要な処理を一つずつ終わらせる。
その後で、また考えればいい。
次は何をするのか。
どんなビジネスをするのか。
何を売るのか。
誰の役に立つのか。
どうやって最初のお客さんを見つけるのか。
今回の経験で一番分かったのは、
ビジネスは、考えているだけでは始まらない。
そして、
うまくいかなかったからといって、そこで終わりでもない。
一回やってダメだった。
だったら原因を考えて、もう一回やればいい。
それでもダメなら、また変える。
会社を作ったことも。
売上が立たなかったことも。
ほったらかしにしてしまったことも。
締め日前になって慌てて動き始めたことも。
全部、自分の経験になった。
「何もできなかった一年だった」
今はまだ、そんな気持ちがある。
でも数年後に振り返ったとき、
「あの一年があったから、その後の考え方が変わった」
と思える一年になる可能性だってある。
だから今は、未来の成功を無理に想像する必要もない。
まず目の前にある会社の締めを終わらせる。
そして、次はもう少し小さく始める。
最初から大成功を狙うのではなく、最初の一人のお客さんを探す。
最初の1円を作る。
一日一つでも前へ進む。
そんなところから、もう一度やってみたい。
会社の締め日は、終わりの日ではない。
次の一年をどうするか考えるための、区切りの日だ。
まだ終わっていない。
むしろ、本当の意味でビジネスを始めるのは、ここからなのかもしれない。

