諦めた研修ビジネスに初めての申し込み。1年以上売れなかった事業の皮肉

転職か、起業か

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諦めた研修ビジネスに初めての申し込み。1年以上売れなかった事業の皮肉

昨日、思いがけない出来事があった。

もう随分前に諦めていた研修ビジネスに、初めてのお客様から申し込みがあったのである。

正直、驚いた。

会社を設立してから、研修事業を軌道に乗せようとホームページを作り、申し込みフォームを設置し、マーケティングにも取り組んできた。

しかし、1年以上、申し込みは一件もなかった。

問い合わせすら期待できない日々が続き、やがて私は研修ビジネスを諦めた。

それなのに、事業から気持ちが離れてしまった今になって、初めて申し込みが届いたのである。

何とも皮肉な話だ。

残念ながら、現在は研修を実施していないことをお客様に説明した。

せっかく申し込んでいただいたのに、お断りすることになってしまった。

申し訳ない気持ちもある。

同時に、心のどこかで「もう少し続けていたら、何か変わっていたのだろうか」という思いが浮かんだ。

今日は、この小さな出来事を通じて、一人会社の経営と、事業を諦めることの難しさについて考えてみたい。

1.1年以上マーケティングをしても、申し込みはゼロだった

私は会社を設立した際、いくつかの事業を考えていた。

その一つが、これまでの仕事で培ってきた経験や知識を活用した研修ビジネスだった。

長年、通信設備の運用や管理、人材育成などに携わってきた。

技術士の資格もあり、経営管理についても学んできた。

こうした経験を社会に還元できる仕事として、研修事業には一定の可能性があると考えていた。

特に、安全衛生や現場管理に関する教育は、企業活動において必要性のある分野だ。

私が取り組もうとしていた職長・安全衛生責任者教育も、その一つである。

企業には人材を育成する必要があり、現場では安全に仕事を進めるための知識が求められる。

需要そのものが存在しないわけではない。

それなら、小規模な会社でも工夫次第で事業を成立させられるのではないか。

そう考えていた。

しかし、現実は甘くなかった。

ホームページを作り、研修内容を紹介し、申し込みを受け付ける仕組みを整えた。

Googleフォームも活用した。

インターネットを通じてお客様が申し込めるようにしておけば、少しずつでも問い合わせが増えるのではないかと期待していた。

ところが、待てど暮らせど申し込みはなかった。

1か月が過ぎ、3か月が過ぎ、半年が過ぎた。

そして、1年以上が経過した。

結果はゼロだった。

マーケティングの本などを読むと、顧客のニーズを把握し、適切な商品を適切な顧客に届けることが重要だと書かれている。

理屈は理解できる。

しかし、実際に自分で事業を始めてみると、顧客に存在を知ってもらうこと自体が、想像以上に難しい。

ホームページがあることと、お客様が来ることは、まったく別の話だった。

2.撤退した後に、初めてのお客様が現れた

そして昨日、そのホームページを通じて申し込みが届いた。

研修を受けたいという方だった。

金額は15,000円。

これまで一件も申し込みがなかったことを考えれば、決して小さな出来事ではない。

もちろん、15,000円の売上があったとしても、それだけで事業が成立するわけではない。

会場費や教材、準備時間などを考えれば、利益はさらに小さくなる。

それでも、実際にお金を払って研修を受けたいという人が現れたことには意味がある。

それは、少なくとも一人のお客様に、私の提供しようとしていた研修が選ばれたということだからだ。

しかし、私はもう研修を実施する体制を維持していなかった。

研修ビジネスへの意欲も、以前のようには残っていない。

そこで、現在は研修を実施していないことを説明した。

お客様には申し訳ないが、実施できない研修を引き受けるわけにはいかない。

特に安全衛生に関する教育は、単に講義をすればよいというものではない。

教育内容、時間、教材、講師としての準備、受講記録など、責任を持って運営する必要がある。

一度やめたものを、申し込みが一件あったからといって簡単に再開するわけにもいかない。

今回は、研修費の振り込みも先に行われていた。

そのため、返金の手続きも必要になった。

初めてのお客様からの入金が、売上ではなく返金の対象になってしまったのである。

何とも複雑な気持ちになった。

3.研修ビジネスは、思った以上に維持が難しい

今回、改めて感じたのは、研修ビジネスの難しさだ。

研修は、教材を一度作れば終わりというものではない。

法律や制度が変わることもある。

安全管理に関する考え方や現場の実態も変化していく。

講義内容は定期的に見直し、必要に応じて新しい情報を反映させなければならない。

研修資料をブラッシュアップするには、それなりの時間がかかる。

また、講師として講義を行う以上、説明の分かりやすさや受講者の理解度にも配慮する必要がある。

単に知識があるだけでは、よい研修にはならない。

私はこれまで、人材育成や技術教育に携わってきた。

だからこそ、研修の品質を維持するためには、相応の努力が必要だと感じている。

特に一人会社の場合、これらをすべて自分で行わなければならない。

営業も自分。

教材作成も自分。

問い合わせ対応も自分。

研修の実施も自分。

経理処理も自分。

お客様が来なければ売上はゼロだが、準備や維持に必要な時間はゼロにはならない。

この構造が、研修ビジネスを続けるうえで大きな負担になっていた。

もし毎月一定数の申し込みがあれば、教材を更新し、研修を続ける意欲も維持できただろう。

しかし、1年以上も申し込みがなければ、いつまで続けるべきなのか判断が難しくなる。

事業には、需要が発生するまで待つ時間も必要だ。

だが、待つことにもコストがかかる。

経営者として、いつまでも可能性だけを追いかけるわけにはいかない。

4.マーケティングを続ければ、いつか売れるのだろうか

今回の申し込みで、一つの疑問が生まれた。

それは、マーケティングを続けていれば、いつかお客様が現れるのかということだ。

私は1年以上、申し込みを得られなかった。

それでも、ホームページを完全に消していたわけではなかった。

その結果、偶然とも思える申し込みが届いた。

これは、マーケティングが遅れて成果を生んだということなのだろうか。

あるいは、本当に偶然だったのだろうか。

残念ながら、今回の一件だけでは分からない。

検索エンジンからホームページを見つけたのかもしれない。

ほかの研修機関と比較して選んでいただいたのかもしれない。

日程や場所、料金などの条件が合ったのかもしれない。

申し込みに至った経緯を確認しなければ、正確な理由は分からない。

ただ、一つだけ確かなことがある。

私が研修ビジネスを諦めた後も、インターネット上では、かつて作った仕組みが働き続けていた。

これは、少し興味深い。

ホームページは、営業担当者のように毎日働いてくれると言われる。

今回の出来事は、その意味を改めて考えさせるものだった。

もっとも、ホームページを残しておけば必ず申し込みが来るという話ではない。

今回も、1年以上でようやく一件だった。

それでは事業として成立するとは言い難い。

しかし、過去に作ったものが時間を経て誰かに届くというのは、インターネットビジネスの一つの特徴なのだろう。

5.一件の申し込みは、事業の可能性を証明するのか

経営学では、顧客が実際にお金を払うかどうかが重要だと言われる。

どれだけ優れた商品やサービスだと思っていても、購入する人がいなければ事業として成立しない。

今回、初めて申し込みがあったことで、私の研修サービスにも一定の需要があることは確認できた。

しかし、ここで冷静に考えなければならない。

一件の申し込みがあったことと、継続的な事業が成立することは別である。

仮に受講料が15,000円だとして、年間一件の申し込みなら売上は15,000円にすぎない。

月に一件でも年間18万円。

月に十件なら年間180万円になるが、それだけの集客ができる保証はない。

さらに、研修の実施には費用や時間が必要になる。

特に少人数での集合研修は、受講者数によって採算が大きく変わる。

研修を実施するために丸一日、あるいは二日間を確保する必要がある場合、一人だけの受講では採算が合わない可能性もある。

つまり、今回の申し込みは「需要がまったくないわけではない」ことを示してくれたが、「事業として成功する」ことまで証明したわけではない。

この違いを見失ってはいけないと思う。

6.事業撤退には、必ず後悔が残るのかもしれない

今回、私が感じたのは、若干の後悔だった。

もう少し続けていたら、どうなっていただろうか。

研修内容を少しずつ更新していれば、今回のお客様を受け入れることができたかもしれない。

そして、そのお客様が次のお客様を紹介してくれたかもしれない。

もちろん、これは単なる想像にすぎない。

一件の申し込みをきっかけに、事業が急成長することもあれば、その後何年も申し込みがないこともある。

それでも、人間は選ばなかった道を考えてしまうものだ。

事業を続けて失敗すれば、「早く撤退すればよかった」と思う。

事業から撤退した後に機会が訪れれば、「もう少し続ければよかった」と思う。

どちらを選んでも、後悔する可能性はある。

経営判断とは、そういうものなのだろう。

大切なのは、結果だけを見て過去の判断を否定しないことだと思う。

当時、1年以上も申し込みがなかった。

事業を維持するための時間や労力も必要だった。

ほかにも取り組まなければならない仕事があった。

その状況で研修ビジネスを諦めたことには、十分な理由があった。

昨日の一件だけを見て、撤退判断が間違っていたと結論づけるのは適切ではない。

ただ、後悔がまったくないかと言われれば、そうでもない。

経営者も人間なのである。

7.一人会社では、やらない事業を決めることも重要だ

会社を設立したばかりの頃は、いろいろな可能性を考えていた。

研修事業、コンサルティング、出版、インターネットを活用したビジネス。

自分の経験や資格を活用すれば、何かしらの収益につながるのではないかと考えていた。

しかし、実際に一人会社を経営してみると、できることと、事業として続けられることは違うと分かってくる。

一人で使える時間には限界がある。

資金にも限界がある。

そして、何より気力にも限界がある。

いくら経験や知識があっても、すべての事業を同時に進めることは難しい。

事業を始めるときには、夢や希望がある。

だが、事業をやめるときには、現実を見なければならない。

私の場合、研修ビジネスはその一つだった。

今回の申し込みによって多少気持ちは揺れたが、だからといって、すぐに再開するつもりはない。

再開するなら、研修内容を更新し、実施体制を整え、集客方法を見直す必要がある。

そして、継続的に収益を確保できる見込みがなければならない。

一件の申し込みだけで、そこまでの投資を決断することはできない。

今は、ほかの仕事や活動に時間を使う方がよいと考えている。

8.研修ビジネスを始める人に伝えたいこと

今回の経験を踏まえ、これから研修ビジネスを始めようと考えている人には、いくつか伝えたいことがある。

最初にホームページを作るだけでは不十分

ホームページは必要だが、作ればお客様が来るわけではない。

特に研修ビジネスでは、受講者がどのような経緯で研修を探すのかを理解することが重要だ。

企業の人事担当者が探すのか。

現場の責任者が探すのか。

あるいは、受講者本人が探すのか。

対象によって、情報の届け方は異なる。

ホームページを作る前に、誰が、何のために、どのような条件で申し込むのかを具体的に考えるべきだった。

研修の品質維持にも費用がかかる

研修は無形のサービスだ。

在庫を持たないという利点はあるが、品質を維持するための負担は小さくない。

教材の更新、法令改正への対応、講義内容の改善、受講者への説明など、継続的な作業が必要になる。

特に安全衛生に関する教育では、実施する教育の種類に応じて、法令上の要件や必要な教育時間、講師の適格性なども確認しなければならない。

研修を実施しない期間が長くなるほど、再開時の準備負担も大きくなる。

最低催行人数と採算を決めておく

研修を申し込んでくれる人が一人でもいれば、何とか実施したいと思うかもしれない。

しかし、経営として考えれば、採算が重要になる。

例えば、会場費、教材費、講師の準備時間、講義時間、事務処理時間などを考慮して、何人以上の受講者がいれば成立するのかを計算しておく必要がある。

申し込みがあったときに慌てて判断するのではなく、あらかじめ最低催行人数や実施条件を決めておくべきだろう。

休止するときは、受付も止める

今回、私が反省した点でもある。

研修ビジネスをやめたのであれば、ホームページにその旨を明示し、申し込みフォームも停止しておくべきだった。

お客様は、ホームページに申し込みフォームがあれば、現在も研修を実施していると考えるだろう。

申し込み後に実施できないと伝えるのは、お客様に余計な手間をかけてしまう。

まして、先に受講料を振り込んでいただいた場合には、返金対応も必要になる。

事業を休止することと、インターネット上の受付を停止することは、セットで考える必要がある。

9.事業を休止するときに確認したいこと

今回の経験を、今後の教訓として整理しておきたい。

事業を休止するときには、少なくとも次のような確認が必要だと思う。

  • ホームページのトップページに休止中であることを明示する。
  • 研修案内ページにも受付停止を表示する。
  • Googleフォームなどの申し込み受付を停止する。
  • 受講料の振込案内や決済機能を停止する。
  • 古い広告や外部サイトからのリンクを確認する。
  • 既に申し込んだお客様への対応を完了する。
  • 再開の可能性がある場合は、教材や運営資料を適切に保管する。

特に注意したいのは、ホームページのトップページだけを修正しても不十分な場合があることだ。

検索エンジンから直接、研修案内ページにアクセスする人もいる。

そのため、申し込みページ自体を停止することが重要になる。

今回のようなことが二度と起こらないように、私もホームページを整理しておこうと思う。

10.過去の努力は、すべて無駄だったのだろうか

1年以上取り組んで、申し込みはゼロ。

そして、諦めた後に初めて申し込みがあった。

この結果だけを見ると、何とも報われない事業だったように思える。

しかし、過去の努力がすべて無駄だったとは考えていない。

ホームページを作る経験も得られた。

申し込みフォームを設置する方法も学んだ。

研修内容を整理する過程で、自分の知識や経験を見直すこともできた。

マーケティングの難しさも、身をもって知ることができた。

そして何より、経営学で学んだことと、実際の経営との違いを経験することができた。

MBAで経営戦略やマーケティングを学んでも、それだけでお客様が来るわけではない。

資格や実務経験が豊富でも、それだけで商品が売れるわけではない。

経営には、知識だけでは説明できない難しさがある。

今回の申し込みは、そんな現実を改めて教えてくれた。

また、研修事業で得た知識や資料は、別の形で活用できるかもしれない。

例えば、教育に関する書籍や電子書籍の執筆、専門的な情報発信などである。

集合研修のように日時や会場を確保する必要がない形であれば、一人会社でも取り組みやすい可能性がある。

もちろん、それらが売れる保証はない。

ただ、一度作った知識や経験を、別の形で社会に届ける方法は残されている。

11.60代の起業は、時間の使い方が難しい

私は60代になって、一人会社を経営している。

若い頃の起業とは、少し事情が違う。

これから何十年もかけて事業を育てるというより、これまで積み重ねてきた経験や知識を、残された時間の中でどう活用するかを考えている。

もちろん、60代だから新しいことができないとは思わない。

むしろ、長年の経験があるからこそできる仕事もある。

しかし、時間や体力、資金の使い方については、慎重にならざるを得ない。

収益の見込みが立たない事業を何年も続けることは難しい。

一方で、短期間で結果が出ないからといって、すぐに諦めてしまえば、可能性を逃すこともある。

このバランスが難しい。

今回の出来事は、まさにその難しさを感じさせるものだった。

続けていれば、昨日のお客様を迎えられたかもしれない。

しかし、続けるために費やした時間が、ほかの仕事の機会を失わせていたかもしれない。

どちらが正しかったのかは分からない。

だからこそ、これからは、事業を始めるときに撤退条件も考えておくことが必要なのだろう。

例えば、一定期間で何件の問い合わせがあるか。

どの程度の売上が見込めるか。

維持に必要な時間はどれくらいか。

こうした基準を設けておけば、感情だけで判断することを少しは避けられる。

12.初めてのお客様には、申し訳なかった

今回の出来事で、最後に残ったのは、お客様への申し訳なさだった。

せっかく私の会社を見つけ、研修を受けたいと考え、申し込んでくださった。

それなのに、研修を提供することができなかった。

お客様にとっては、ほかの研修機関を探し直す必要がある。

時間も手間もかかる。

こちらの事情で申し込みをお断りすることになったのだから、きちんと対応しなければならない。

事業をやめたつもりでも、ホームページが残っている限り、外部からは営業を続けているように見えることがある。

その責任を、今回改めて感じた。

初めてのお客様だった。

本来なら、喜んでお迎えしたかった。

できれば、よい研修を提供し、満足して帰っていただきたかった。

しかし、今の私には、それを実現する準備ができていなかった。

少し寂しい話である。

13.おわりに――諦めた後に届いた、一件の申し込み

事業を始めることは、それほど難しくない。

会社を設立し、ホームページを作り、サービスを用意すれば、事業の形は整う。

しかし、実際にお客様を獲得し、継続的に収益を上げることは、想像以上に難しい。

さらに、事業を維持することにも負担がかかる。

そして、事業をやめるという判断にも、難しさがある。

昨日、私はそのことを改めて実感した。

1年以上申し込みがなかった研修ビジネス。

諦めてから届いた、初めてのお客様の申し込み。

もう少し続けていたら、どうなっていただろう。

そんな思いが、今も少し残っている。

しかし、過去に戻ることはできない。

今回の出来事を教訓にして、今後の事業に生かしていくしかないのだろう。

経営とは、思いどおりにならないことの連続である。

努力したときに成果が出るとは限らない。

諦めた後に、思いがけない機会が訪れることもある。

商売とは、何とも気まぐれなものだ。

そして、もう一つ思った。

昨日の申し込みが、研修ビジネスを続けていた頃に届いていたら、私はどれほど喜んだだろう。

きっと、会社を設立してよかったと思ったに違いない。

そう考えると、やはり少しだけ後悔が残る。

それでも、初めて私の会社を選んでくださったお客様には、感謝したい。

売上にはならなかったが、少なくとも、私が始めた事業を必要としてくれた人が一人いた。

その事実だけは、大切にしておこうと思う。

そして、これから新しく始める仕事では、今回のような後悔を少しでも減らしたい。

一人会社の挑戦は、まだ終わっていないのだから。

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