
【株式投資で勝てない】実戦を一度やめてシミュレーションからやり直す
株式市場は、思っていた以上に難しい世界でした。
もちろん、始める前から簡単だとは思っていませんでした。
それでも実際に自分のお金を使って売買してみると、
「知識も経験もない状態で利益を出し続けるのは、かなり難しい」
という現実を感じます。
数千円の利益が出ることはあります。
その日は少し嬉しくなります。
「もしかしたら、この方法ならいけるのではないか」
と思うこともあります。
しかし翌日は負ける。
その次の日も思ったようにならない。
利益が出たとしても、
なぜ利益が出たのか、自分自身で明確に説明できない。
ここが問題です。
偶然だったのか。
相場全体が上昇していただけなのか。
銘柄選択が良かったのか。
エントリーのタイミングが良かったのか。
それすら十分に分かっていません。
だったら、今の状態で実際のお金を投入し続けるべきではない。
最近、そう考えるようになりました。
そこで私は、
いったん実戦を急がず、シミュレーションをしっかりやってみよう
と思っています。
再現性のある取引方法を自分なりに見つける。
そしてシミュレーション上でコンスタントに結果を出せるようになってから、改めて株式市場への参画を考える。
遠回りに見えます。
でも今の自分には、それが一番必要なことなのかもしれません。
株式市場も甘い世界ではなかった
考えてみれば当然です。
株式市場にはプロがいます。
何十年も投資をしている人もいます。
企業分析を専門にしている人もいます。
機関投資家もいます。
高度なシステムを使って取引している参加者もいます。
その中へ経験の浅い自分が入って、
「毎日1万円くらいなら稼げるのではないか」
と考えていた。
今振り返ると、少し甘かったのかもしれません。
1日1万円。
20営業日なら月20万円。
生活費くらいにはなる。
計算としては簡単です。
しかし、計算できることと実現できることはまったく違いました。
「1日1万円」という目標が先に来てしまった
今考えると、順序が逆だったように思います。
本来なら、
勉強する。
↓
取引方法を考える。
↓
過去のデータで検証する。
↓
シミュレーションする。
↓
勝率や損益を確認する。
↓
改善する。
↓
小さな金額で実戦する。
↓
それでも結果が出るか確認する。
この順番だったのでしょう。
ところが自分の場合、
「生活費が必要だから、1日1万円稼ぎたい」
という目的が先にありました。
相場は、私の生活事情など知りません。
今日は生活費が必要だから株価が上昇してくれる、などということはありません。
知識がなければ「退場」が早くなる
株式市場で怖いのは、単に負けることではないと思います。
資金を失い、続けられなくなること。
これが一番怖い。
一回の損失なら取り戻せる可能性があります。
しかし大きな損失を何度も繰り返して資金そのものがなくなれば、そこで終了です。
特に信用取引では、自分の資金以上の取引ができるため、利益だけを見れば魅力的に感じます。
しかし当然、損失側にも同じことが言えます。
「早く生活費を稼ぎたい」
という焦りと、レバレッジは相性が良くない。
ここは自分自身への戒めとして覚えておきたいと思います。
どの世界も甘くない
最近、いろいろなことに挑戦してきました。
再就職。
起業。
電子出版。
ブログ。
そして株式投資。
どれも簡単ではありませんでした。
本を出せば売れるわけではない。
資格があれば仕事が来るわけでもない。
MBAを持っていれば事業アイデアが次々出てくるわけでもない。
技術士だから簡単に再就職できるわけでもない。
そして、
証券口座を開設すれば株で稼げるわけでもない。
当たり前のことなのですが、自分で経験して初めて分かることがあります。
どの世界にも、その世界で長く生き残っている人がいます。
その人たちは、簡単そうに見えても、見えないところで相当な勉強や経験を積んでいるのでしょう。
今の自分には「再現性のある取引」がない
ここが今回、一番考えたところです。
今の私は、
再現性のある取引方法を持っていません。
例えば、
「こういう条件になったら買う」
「この条件なら買わない」
「ここまで下がったら損切りする」
「ここまで上がったら利益を確定する」
「この相場環境では取引しない」
というルールを、明確に説明できる状態ではありません。
なんとなくチャートを見る。
値上がりしている株を見る。
ニュースを見る。
買ってみる。
上がれば売る。
下がれば悩む。
これでは再現性とは言えないでしょう。
「勝った」だけでは取引方法にならない
例えば今日、5,000円の利益が出たとします。
それ自体は嬉しいことです。
しかし本当に重要なのは、
「同じ条件になったら、明日も同じ判断ができるか」
です。
さらに、
100回同じような取引をしたとき、
トータルで利益が残るのか。
ここまで確認できなければ、たまたま勝っただけかもしれません。
これは自分にとって非常に重要な気づきでした。
シミュレーションを軽く考えていた
これまでは、
「実際に取引した方が早く覚えられる」
という気持ちもありました。
確かに実戦でしか分からない心理はあるでしょう。
自分のお金が減る怖さ。
利益が出たときの欲。
損失を取り戻したくなる気持ち。
これはシミュレーションだけでは完全には再現できないと思います。
しかし、
だからといって、検証していない方法へ実際のお金を投入する必要はありません。
ここを混同していました。
まず仮説を作る
これからシミュレーションをするなら、ただ架空の売買を繰り返すだけでは意味がないと思っています。
まず、
「こういう条件なら利益が出やすいのではないか」
という仮説を作る。
例えば単純な例なら、
ある一定の出来高がある。
トレンドの方向が一定条件を満たす。
特定の価格帯を突破する。
市場全体の方向も一致している。
そうした自分なりの条件を決める。
そして、
「条件を満たしたから買った」
と言える状態にする。
エントリー条件だけでなく「買わない条件」も決める
さらに重要なのは、
買う条件だけではない
と思います。
むしろ、
「どんなときに取引しないのか」
を決める。
相場全体が不安定なとき。
自分が理解できない値動きをしているとき。
損切り位置を決められないとき。
想定する利益に対してリスクが大きすぎるとき。
重要イベントを控えていて自分では判断できないとき。
こうした場合には取引しない。
「何もしない」という選択をルール化することも必要です。
シミュレーションで最低限記録したいこと
今度は感覚ではなく、数字で見たいと思います。
例えば取引ごとに、
- 日付・銘柄・売買方向
- エントリー価格とエグジット価格
- エントリーした理由
- 損切り位置と利益確定条件
- 想定リスクと実際の損益
- その日の市場環境
- ルールを守れたか
- 最大含み損・最大含み益
- 勝敗ではなく「同じ条件でもう一度取引するか」
などを記録する。
そして30回、50回、100回とサンプルを増やしていく。
「勝率」だけを見ても駄目
これも勉強しなければならないところです。
例えば10回取引して7回勝った。
勝率70%。
一見、非常に良さそうです。
しかし、
7回それぞれ1,000円勝つ。
3回それぞれ5,000円負ける。
なら、
利益7,000円に対して損失15,000円。
トータルでは8,000円のマイナスです。
逆に勝率が50%未満でも、利益を大きく取り、損失を小さく抑えられればプラスになる場合があります。
だから見るべきなのは、
「何勝何敗だったか」だけではなく、最終的に期待値がプラスになる取引なのか。
ここなのでしょう。
最大ドローダウンも見ておきたい
もう一つ重要だと思うのが、連敗したときです。
平均的には利益が出る方法だったとしても、
5連敗。
7連敗。
10連敗。
ということがあるかもしれません。
そのとき、どれくらい資金が減るのか。
精神的に耐えられるのか。
資金的に継続できるのか。
平均利益だけを見ていると、この部分を見落としてしまいます。
利益より先に、「どこまで負ける可能性があるのか」を知っておく。
これは生活資金を守るためにも大切です。
Excelでも十分シミュレーションできる
最初から高度なプログラムを作る必要はないと思っています。
まずはExcelなどで、
日付。
銘柄。
条件。
買値。
売値。
損益。
勝敗。
累積損益。
最大損失。
などを記録する。
50回程度の仮想取引でも、自分の癖が見えてくるかもしれません。
重要なのはツールの豪華さではありません。
自分の取引を数字として見えるようにすること。
これをまずやってみたい。
MBAで学んだ「仮説→検証」を投資にも使う
考えてみれば、これはMBAで学んだ考え方にも近いものがあります。
仮説を立てる。
実行する。
数字を見る。
検証する。
改善する。
もう一度試す。
ビジネスなら普通にやることです。
それなのに株式投資になると、
「上がりそう」
「この銘柄は強そう」
という感覚に頼っていました。
せっかくMBAを学んだのなら、
自分の投資そのものを一つの事業のように分析すればいい。
今はそう考えています。
技術士としても「検証」は当たり前だった
技術の世界でも同じです。
設計する。
計算する。
試験する。
測定する。
問題があれば修正する。
安全性や信頼性を確認する。
それから実用化する。
ところが投資になると、
十分に試験していないシステムをいきなり本番稼働させていた
ようなものかもしれません。
技術者として考えれば、少しおかしな話です。
だったら投資にも技術者的な姿勢を持ち込む。
設計→シミュレーション→検証→改善→実戦。
この順序でいいのではないでしょうか。
技術士×MBAなら「投資方法を設計する」という考え方もできる
これは自分の経歴を活かせるところかもしれません。
技術士として、
仕組みを設計する。
MBAとして、
数字で検証する。
そして投資家として、
市場で小さく試す。
この三つを組み合わせる。
「勘のいいトレーダー」になる必要はないのかもしれません。
自分には自分のやり方があります。
まずは得意分野の銘柄に絞る
もう一つ、自分なりに考えているのが銘柄選択です。
何千社もの上場企業すべてを理解することはできません。
だったら、
自分が理解できる分野へ絞る。
私は技術士(電気電子部門)として、情報通信ネットワーク設計を専門分野にしてきました。
だから、
電気電子。
情報通信。
ネットワーク。
データセンター。
半導体。
光通信。
AIインフラ。
この周辺から研究してみる。
企業の技術を理解する。
MBAの知識で事業や財務を見る。
そのうえで株価と売買タイミングを研究する。
ファンダメンタルズとタイミングを分けて考える
これまで自分は、
「良い会社を見つけること」
と、
「利益が出るタイミングで買うこと」
を少し混同していました。
素晴らしい会社でも、高すぎる価格で買えば短期的に損失になる可能性があります。
逆に短期的に株価が上昇していても、企業そのものを理解していなければ、自分にはリスクが大きい。
そこで、
①企業を選ぶ
ことと、
②売買タイミングを選ぶ
ことを分けて考える。
これもシミュレーションで検証したいところです。
「実際のお金を使わない期間」を無駄だと思わない
以前の自分なら、
「シミュレーションをしている間は1円も稼げない」
と思ったでしょう。
今は逆です。
シミュレーション期間中に損失を防げれば、それも立派な成果です。
10万円負ける可能性があった取引をしなかった。
それなら実質的には10万円を守ったとも考えられます。
焦って市場へ戻る必要はありません。
「コンスタントに勝てる」の定義も決めなければならない
そして、自分に問いかけています。
何をもって「シミュレーションで勝てるようになった」と判断するのか。
5回連続で勝った。
それだけでは少ない。
たまたまかもしれません。
一定数の取引を記録する。
累積損益を見る。
勝率を見る。
平均利益と平均損失を見る。
最大ドローダウンを見る。
手数料などのコストも考える。
相場環境が変わっても成り立つのか確認する。
そこまでやって初めて、
「少し再現性がありそうだ」
と言えるのでしょう。
シミュレーションで勝っても、実戦は別物
ここも忘れないようにしたいと思います。
シミュレーションで利益が出たからといって、
実際の取引でも同じ結果になる保証はありません。
実際のお金が動けば心理が変わります。
損切りできない。
利益を早く確定したくなる。
ルールを変更したくなる。
さらに実際の売買では、約定価格や流動性、各種コストなども影響します。
だからシミュレーションをクリアしたら大金を投入する、ではありません。
次は小さな金額で確認する。
段階を踏む必要があります。
生活費を稼ぐことと投資をいったん切り離す
これは今の自分にとって、とても重要な判断かもしれません。
生活費は必要です。
しかし、
「今日の生活費を今日の相場から取らなければならない」
という状態では、冷静な投資判断が難しくなります。
生活費を得る方法については、再就職や小さなビジネスなど別の方法も引き続き探す。
株式投資は、
十分な検証が終わるまで「生活費を稼ぐ装置」と考えない。
この方がいいのではないかと思っています。
60代だからこそ「急がば回れ」
収入がないと焦ります。
時間も気になります。
だから、
「早く稼がなければ」
と思います。
しかし、その焦りによって大きな損失を出せば、さらに苦しくなります。
60代だから急ぐ。
でも、
60代だからこそ、致命的な失敗を避ける。
この二つを同時に考えなければなりません。
今は「市場から逃げる」のではなく「研究室へ戻る」
株式市場から少し距離を置くことを、
「負けたから逃げる」
とは考えないようにします。
むしろ、
研究室へ戻る。
そんなイメージです。
自分の取引方法を作る。
過去の値動きを見る。
仮説を作る。
シミュレーションする。
数字を記録する。
失敗パターンを探す。
改善する。
また試す。
そして、
自分なりの再現性が見つかってから市場へ戻る。
まとめ|株式市場は甘くなかった。だから「シミュレーション」からやり直す
株式市場へ実際に参加してみて分かりました。
簡単ではありません。
むしろ非常に難しい。
知識がない。
経験がない。
ルールがない。
資金管理も十分ではない。
その状態で、
「毎日生活費を稼ぎたい」
と考える。
今振り返れば、かなり難しいことをしようとしていました。
そして今の自分には、
再現性のある取引方法がありません。
これを認めることから再スタートします。
分からないなら、勉強する。
方法がないなら、作る。
作ったらシミュレーションする。
結果を記録する。
利益が出ても偶然ではないか疑う。
損失が出たら原因を分析する。
改善する。
もう一度試す。
仮説→シミュレーション→検証→改善。
これを繰り返す。
そして、ある程度の取引回数を重ねても期待値がプラスになり、許容できるリスクの範囲で再現性がありそうだと確認できたら、初めて小さな金額で実戦へ戻る。
急ぐ必要はありません。
いや、本当は急ぎたい。
生活費も必要です。
収入がない不安もあります。
だからこそ、焦って資金を減らしてはいけないのでしょう。
株式市場だけが特別なのではありません。
再就職も難しい。
起業も難しい。
出版も難しい。
投資も難しい。
どの世界も甘くない。
でも、だからこそ学ぶ価値があります。
今は利益を取りに行く時期ではなく、
利益を生み出せる方法が本当に存在するのか、検証する時期。
そう考えることにしました。
実際のお金を賭ける前に、何度でも失敗できる場所で失敗する。
シミュレーションなら、失敗するほどデータが増えます。
そしていつの日か、
「なぜこの取引をするのか」「どんな条件ならやらないのか」「長期的にどの程度のリスクとリターンを想定しているのか」
を自分の言葉と数字で説明できるようになりたい。
それができるようになったとき、
もう一度、株式市場へ戻ります。
今度は「何となく上がりそうだから」ではありません。
自分で考え、自分で検証し、自分で作ったルールを持って。
遠回りかもしれません。
でも今は、その遠回りこそが一番の近道だと思っています。

