
大学の非常勤講師に応募してみた|キャリアデザインを教えるという挑戦
思いがけず、また大学の非常勤講師に応募した
先日、大学の非常勤講師に応募した。
担当科目は「キャリアデザイン」。
大学の求人を見ていると、多くの場合、応募条件に博士号が求められている。研究実績や学術論文が重視される世界なので、それは当然のことだと思う。
私自身は博士号を持っていない。
そのため、大学教員の公募を見るたびに、「これは応募できないな」と画面を閉じることも少なくない。
しかし今回の求人は違った。
求められていたのは研究者としての実績だけではなく、実務経験やキャリア支援に関する知識と経験だった。
しかも担当科目はキャリアデザイン。
思わず募集要項を何度も読み返してしまった。
そして気が付けば応募書類を作り始めていた。
なぜ大学に応募しようと思ったのだろう
正直なところ、自分でも不思議である。
なぜ大学なのだろう。
なぜ学生に教えたいのだろう。
なぜわざわざ少し離れた場所まで通おうとしているのだろう。
自分に問いかけてみても、実は明確な答えは見つかっていない。
収入だけを考えれば、もっと効率の良い方法はいくらでもある。
移動時間もかかる。
授業準備も必要になる。
レポートの採点や学生対応もある。
決して楽な仕事ではない。
それでも応募したくなった。
その理由を考えてみると、おそらく「学生に何かを教えたい」というより、「学生と一緒に未来について考えてみたい」という気持ちがあるのかもしれない。
キャリアデザインという科目に惹かれた理由
キャリアデザインという言葉を聞くと、多くの人は就職活動をイメージするかもしれない。
しかし本来のキャリアデザインはもっと広い概念だ。
どの会社に入るか。
どの職種を選ぶか。
それだけではない。
どんな人生を送りたいのか。
何を大切にしたいのか。
どんな価値を社会に提供したいのか。
そうしたことを考える学問でもある。
振り返ってみると、自分自身もずっとキャリアデザインを続けてきた。
仕事を選ぶとき。
学び直しを決意したとき。
資格取得に挑戦したとき。
生成AIを学び始めたとき。
新しい副業に挑戦したとき。
その都度、自分なりに未来を考え、選択し、行動してきた。
成功したこともある。
失敗したこともある。
遠回りしたこともある。
だからこそ、学生たちと一緒に考えられることがあるような気がしている。
カリキュラム案を作りながら気付いたこと
応募にあたり、授業のカリキュラム案も作成した。
全15回を想定しながら、
- 働く意味とは何か
- 自己分析
- 強みの発見
- 価値観の整理
- 業界研究
- 企業研究
- コミュニケーション能力
- 問題解決力
- キャリア理論
- AI時代の働き方
- DX時代のキャリア形成
- キャリアプラン作成
などを組み込んでみた。
作り始めるまでは、「授業案なんて簡単にできるだろう」と思っていた。
しかし実際に考え始めると奥が深い。
学生に何を伝えたいのか。
学生は何に悩むのか。
卒業後に本当に役立つ内容は何か。
考えれば考えるほど、授業というものは単なる知識の伝達ではないことが分かる。
むしろ大切なのは、学生自身が考えるきっかけを作ることなのかもしれない。
AI時代だからこそ必要なキャリア教育
もし授業を担当することになれば、ぜひ取り上げたいテーマがある。
それは生成AIである。
ここ数年で働き方は大きく変わり始めている。
これまで人が行っていた仕事の一部はAIが担うようになった。
資料作成。
文章作成。
データ分析。
プログラミング。
翻訳。
様々な分野で変化が起きている。
学生たちの中には不安を感じている人もいるだろう。
しかし私は、AIを恐れる必要はないと思っている。
大切なのは、AIと競争することではなく、AIを活用できる人材になることだ。
実際、社会ではすでにその方向へ動いている。
だからこそキャリアデザインの授業でも、AI時代の働き方について考える機会を作りたいと思っている。
数年前には存在しなかったテーマだが、これからの学生にとっては極めて重要なテーマになるはずだ。
1科目ならなんとかなるかもしれない
応募しながら思ったことがある。
もし採用されたとしても、担当は1科目だ。
もちろん簡単ではない。
授業準備も必要だし、責任もある。
それでも1科目であれば何とかなるような気もしている。
本業があり、副業もあり、学びも続けている。
その中で大学で教えるという経験が加わる。
忙しくはなるだろう。
しかし、新しい景色が見えるかもしれない。
社会人になると、どうしても同じ業界、同じ年代、同じ価値観の人と接することが増える。
大学には全く違う世界がある。
学生たちの考え方。
悩み。
価値観。
未来への期待。
そうしたものに触れることは、自分自身にとっても大きな刺激になるだろう。
採用されるかどうかは分からない
もちろん、採用される保証はない。
応募者が何人いるのかも分からない。
どんな人が応募しているのかも分からない。
もしかすると博士号を持つ優秀な応募者がいるかもしれない。
実績豊富な大学教員経験者がいるかもしれない。
結果は大学側が決めることだ。
だから今の段階で考えても仕方がない。
ただ一つ言えるのは、応募してよかったということだ。
応募しなければ可能性はゼロだった。
応募したことで可能性はゼロではなくなった。
その違いは大きい。
キャリアに完成形はない
最近つくづく思う。
キャリアに完成形はない。
ある資格を取ったら終わりでもない。
ある役職に就いたら終わりでもない。
転職したら終わりでもない。
独立したら終わりでもない。
人生は常に続いていく。
そしてキャリアもまた変化し続ける。
今回、大学の非常勤講師に応募したことも、その変化の一つなのだと思う。
数年前の自分は、大学で教えることなど考えてもいなかった。
しかし今は違う。
やってみたいと思った。
その気持ちに従って行動してみた。
結果がどうなるかは分からない。
9月以降、本当に教壇に立っているかもしれないし、別の挑戦をしているかもしれない。
ただ、今回改めて感じたのは、人は何歳になっても新しい可能性に出会えるということだ。
そして、その可能性は行動した人にしか見つからない。
まずは結果を待ちながら、少しだけ期待してみようと思う。
もしご縁があれば、学生たちと一緒にキャリアについて考える時間を楽しみたい。
そしてもしご縁がなくても、この挑戦そのものが自分のキャリアの一ページになる。
そんな気がしている。
