
配当だけもらって翌日売ると儲かる?9月末の「配当取り」を考えてみた
9月もいよいよ終盤です。
日本企業の多くにとって9月末は中間期の区切り。そして株式投資をしている私にとって、気になっているのが9月末の配当です。
株を保有しているだけで配当金が入ってくる。
やっぱり魅力的です。
そこで先日、かなり単純なことを考えました。
「配当をもらえる直前に株を買って、配当の権利を取ったらすぐ売ればいいんじゃない?」
うまくいけば、株を長期間保有しなくても配当だけ受け取れます。
これはいい方法を思いついた――。
……と思ったのですが、少し調べてみると、当然ながらそんな簡単な話ではありませんでした。
今回は、9月末の配当を前に私が考えた「配当取り」について書いてみます。
9月末は「配当」を意識する季節
日本には3月決算の会社が多くあります。
そのため9月末は中間決算の時期となり、中間配当を実施する企業も数多くあります。
普段は、
「この会社は成長するのか」
「PERは高いのか安いのか」
「業績は伸びているのか」
などを考えて株を見ていますが、9月末になるとどうしても気になるのが、
「この会社はいくら配当を出すんだろう?」
ということです。
特に高配当株を見ていると、
「100株持っていれば数千円」
「複数銘柄を持っていれば結構な金額になるな」
と考えてしまいます。
そこで思いついたのが、配当の権利を取得する直前に株を購入する方法でした。
「配当だけもらって売る」はできるのか
株の配当を受け取るには、企業が定める権利確定日に株主になっている必要があります。
ただし、権利確定日に買えばいいわけではありません。
株式取引では受け渡しまでに時間が必要になるため、**「権利付き最終日」**までに株を購入しておく必要があります。
そして権利付き最終日の翌営業日が、
「権利落ち日」
です。
権利付き最終日まで株を保有していれば、その翌営業日に株を売却しても、基本的には配当を受け取る権利は残ります。
ここで私は考えました。
「だったら権利付き最終日に買って、翌日の権利落ち日に売ればいいんじゃない?」
これなら株を長期間保有する必要がありません。
極端に言えば、一晩だけ株を持つ。
そして配当を受け取る。
なんだかものすごく効率のいい投資に見えます。
例えば30万円の株を買って5,000円の配当なら?
簡単な例を考えてみます。
株価3,000円の会社を100株購入するとします。
必要資金は、
3,000円×100株=30万円
です。
仮に中間配当が1株50円なら、
50円×100株=5,000円
の配当になります。
30万円を投資して、一晩株を保有する。
それだけで5,000円。
単純計算すると約1.67%です。
「これ、かなりいいんじゃない?」
と思いますよね。
私も思いました。
ところが当然、市場参加者はみんな同じことを知っています。
ここに**「配当落ち」**があります。
配当をもらった分だけ株価が下がる?
権利落ち日になると、新たに株を買っても今回の配当を受け取れません。
つまり株には、
「今回の配当を受け取れる価値」
がなくなります。
そのため理論的には、権利落ち日に配当相当額だけ株価が下がることになります。
先ほどの例なら、
株価3,000円
配当50円
だった場合、
理論上は、
3,000円 → 2,950円
という動きが考えられます。
100株なら5,000円の値下がりです。
一方でもらえる配当も5,000円。
つまり、
配当+5,000円
株価下落-5,000円
となれば、結局プラスマイナスゼロです。
「なるほど。そんな簡単にはいかないか」
という話です。
でも株価は理論通りには動かない
ただ、株式投資が面白くもあり難しくもあるのはここからです。
実際の株価は、
「前日の終値-配当金」
と機械的に決まるわけではありません。
前日の米国株が大幅に上昇しているかもしれません。
為替が円安になっているかもしれません。
その会社から好材料が出るかもしれません。
日経平均全体が上昇する日かもしれません。
反対に、悪材料が出て市場全体が大幅安になる可能性もあります。
だから配当50円の会社が翌日に50円下がるとは限りません。
20円しか下がらないこともあれば、逆に株価が上昇する可能性もあります。
一方で100円、200円と下落する可能性だってあります。
つまり、
「配当金はある程度計算できても、翌日の株価は計算できない」
ということです。
ここが最大の問題です。
高配当株なら大丈夫なのか?
次に考えたのが、
「だったら配当利回りの高い株を買えばいいのでは?」
という方法です。
配当が1,000円より5,000円。
5,000円より1万円。
配当が大きければ、多少株価が下落しても吸収できそうに感じます。
しかし、これも単純ではありません。
そもそも配当利回りは、
1株当たり年間配当÷株価
で計算されます。
業績不振などで株価が急落すると、計算上の配当利回りは高くなります。
つまり、
「高配当だから魅力的」
なのではなく、
「何か問題があって株価が下落した結果、高配当に見えている」
可能性もあるわけです。
もちろん、純粋に株主還元に積極的な優良企業もあります。
だからこそ配当利回りだけで判断するのは危険なのでしょう。
私なら「配当+7項目」でチェックしたい
では9月末に株を買うなら何を見るのか。
私は少なくとも次の点を確認したいと思っています。
- 配当利回り
- 配当性向
- 営業キャッシュフロー
- 自己資本比率
- 過去の減配実績
- 今期の利益見通し
- PER・PBR
- 今後も保有したい事業内容か
特に最後が重要ではないでしょうか。
「権利落ち日に株価が下がって売れなくても、この会社なら持っていていい」
と思えるかどうかです。
そういう会社なら、配当落ちで多少下落しても慌てる必要はありません。
逆に、
「29日になったら絶対に売りたい」
と思っている会社なら、配当だけを目的に買うのは少し危ない気がします。
「配当をもらうために買う」のではなく「欲しい株から配当ももらう」
今回いろいろ考えていて、自分の中で少し答えが見えてきました。
最初は、
配当をもらうために株を買う
と考えていました。
でも順番が逆なのかもしれません。
欲しい会社だから株を買う。
その会社から配当ももらえる。
こちらの方が自然です。
例えば、
「業績が伸びている」
「財務がいい」
「今のPERなら割高ではない」
「今後数年間の成長が期待できる」
「配当も安定している」
という会社がある。
そして以前から買いたいと思っていた。
それなら9月末の権利付き最終日前に買うのは十分ありでしょう。
配当はあくまでプラスアルファです。
むしろ「権利落ち後」に買った方がいい?
さらに考えているうちに、逆の発想も出てきました。
配当を諦めて、権利落ち後に買う。
これです。
例えば配当50円の会社が権利落ち日に80円下落したとします。
今回の配当50円は受け取れません。
しかし、長期保有したかった会社を80円安く買えるなら、それも悪くありません。
特に権利付き最終日に向かって株価が上昇している銘柄なら、
わざわざ高くなったところを追いかけなくてもいいのでは?
とも思います。
権利落ち日に大きく下がったところを拾う。
こちらの方が私には合っている可能性もあります。
9月末配当には「3つの選択肢」がある
結局、9月末を前に個人投資家が取れる行動は、大きく3つありそうです。
① 権利付き最終日までに買って配当を受け取る
長期保有したい銘柄なら有力です。
② 権利落ちを待ってから買う
今回の配当は諦め、その代わり安く買える可能性を狙います。
③ 何もしない
これも大事です。
株式投資をしていると、
「せっかくの配当だから取らなければ」
と思ってしまいます。
でも投資に「参加賞」はありません。
条件が合わないなら見送る。
これも立派な投資だと思います。
短期売買をやって改めて感じる「何もしない」という難しさ
最近、株の短期売買をしていて感じることがあります。
それは、
「何もしないことが意外に難しい」
ということです。
株価を見ていると買いたくなります。
上がっていると、
「乗り遅れる」
と思う。
下がっていると、
「そろそろ反発する」
と思う。
配当が近づくと、
「配当を取らないともったいない」
と思う。
株式市場は、こちらに常に何かをさせようとしてきます。
でも実際には、
買わない自由もあります。
これは最近かなり重要だと思うようになりました。
配当は「タダでもらえるお金」ではなかった
今回、
「9月末の配当だけ取れないかな?」
というところから考え始めました。
結論としては、
制度上、配当の権利を取って翌営業日に売ることはできます。
でも、
それで利益が出るかどうかは別問題です。
配当落ちがあります。
株価変動があります。
税金があります。
売買コストがあります。
そして翌日の市場環境があります。
何より、
自分が希望する価格で売れる保証がありません。
「配当5,000円をもらうために、株価で1万円損をした」
では意味がありません。
それでも9月末までに株を買うか迷っている
ということで、まだ迷っています。
9月末の配当は欲しい。
これは本音です。
配当金が入ってくるとうれしいですし、長期投資なら配当再投資の効果も期待できます。
一方で、
「配当が欲しい」という理由だけで焦って株を買う必要はない
とも思います。
だから9月末までに買うなら、
配当がなくても買いたい会社
にしようと思っています。
そして権利落ち日に下がっても、
「まあ持っておこう」
と思える会社。
これなら少なくとも、
「配当を取りに行ったら株価下落で逃げられなくなった」
という事態は避けやすくなります。
9月末の投資、私の結論
今のところ私の考えはこうです。
配当だけを目的に、権利付き最終日に買って翌日売る取引はしない。
それよりも、
業績、財務、割安度、将来性、配当を総合的に見て、もともと欲しかった株があれば買う。
そして条件が合わなければ、
権利落ち後まで待つ。
それでも高ければ買わない。
たぶん、それくらいでいいのでしょう。
投資を始めると、
「何か特別な方法があるんじゃないか」
と考えてしまいます。
私も、
「28日に買って29日に売れば、配当だけ取れるぞ」
と思いました。
でも、そんな方法が簡単に成立するなら、みんなやっています。
市場はなかなかよくできています。
だから結局、
いい会社を、納得できる価格で買う。
そこに戻ってくるのかもしれません。
さて、9月末まであと少し。
会社四季報をもう一度開いて、
「配当がなくても、この会社を買いたいか?」
という視点で候補銘柄を探してみようと思います。
この問いをクリアできる会社なら、配当はちょっと嬉しい「おまけ」になります。
そのくらいの距離感が、私にはちょうどいいのかもしれません。
※この記事は個人の投資体験・考察を記したもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株式投資には元本割れのリスクがあります。投資判断はご自身でお願いします。

