
60歳を超えた再就職はこんなに厳しいのか|人手不足なのに書類選考すら通らない現実
「世の中は人手不足です」
ニュースを見ていると、そんな言葉を本当によく耳にする。
企業は人材が集まらない。
採用してもすぐ辞めてしまう。
運送業界も人が足りない。
介護も足りない。
タクシーもドライバー不足。
建設業界も人手不足。
いろいろな業界から悲鳴が聞こえてくる。
だから、どこかで思っていた。
これだけ人手不足なら、60歳を過ぎても、まだ働く場所はあるだろう。
もちろん若い頃と同じ条件で働けるとは思っていない。
給料だって下がるかもしれない。
役職なんて必要ない。
会社の規模にもこだわらない。
これまで経験してきたことを少しでも生かして、必要としてくれる会社で働ければいい。
そんな気持ちで再就職活動をしている。
ところが――。
現実は、想像していたよりずっと厳しかった。
「人手不足」と「60歳以上の再就職」は別の話なのかもしれない
就職活動を続けていると、ときどき不思議な気持ちになる。
「本当に日本は人手不足なのだろうか?」
これが最近、私の頭の中から離れない。
求人サイトには、たくさんの求人が掲載されている。
「経験者歓迎」
「即戦力募集」
「人材不足」
「積極採用中」
そんな文字が並んでいる。
ところが応募してみると、書類選考で終わる。
面接まで行けない。
自分の職務経歴書が悪いのだろうか。
経験が足りないのだろうか。
希望条件が高すぎるのだろうか。
それとも――。
やっぱり年齢なのだろうか。
もちろん、すべてを年齢のせいにするつもりはない。
企業にも事情があるだろう。
同じ能力なら長く働いてくれそうな若い人を採用したい、という判断もあるかもしれない。
給与体系、組織構成、上司との年齢差など、採用する会社側にもいろいろな問題があるはずだ。
それでも、応募しても応募しても書類で落ちる日々が続くと、どうしても考えてしまう。
「60歳を超えてからの再就職というのは、こんなにも難しいものなのか」
就職エージェントから言われた「100社に1社くらい」
以前、就職エージェントからこんな話をされた。
「書類選考だけなら、100社に1社くらいだと思ってください」
最初に聞いたときは、
「さすがにそこまでではないだろう」
と思っていた。
100社応募して1社。
通過率1%。
そんな世界なのか?
半信半疑だった。
しかし実際に再就職活動を続けていると、この言葉の重さが少しずつ分かってきた。
求人を探す。
会社を調べる。
応募するか迷う。
履歴書を確認する。
職務経歴書を求人に合わせて修正する。
志望動機を書く。
そして応募する。
ここまででも結構な時間を使う。
それなのに数日後、
「慎重に選考を進めました結果、誠に残念ながら……」
という連絡が届く。
また探す。
また応募する。
そしてまた落ちる。
これを何度も繰り返していると、さすがに精神的にこたえる。
不採用が続くと「自分には実力がないのでは」と思ってしまう
一番怖いのは、不採用そのものではない。
不採用が続くことで、
自分自身の価値まで否定されたような気持ちになってしまうことだ。
「自分には実力がなかったのかな」
「今までやってきた仕事は何だったんだろう」
「自分が思っているほど仕事ができる人間ではなかったのかな」
そんなことまで考えてしまう。
これは結構つらい。
会社に勤めているときには、それなりに仕事をしてきたつもりだった。
問題が起きれば対応した。
人間関係で苦労したこともあった。
部下や同僚と一緒に仕事をしてきた。
お客さんに頭を下げたことも何度もある。
失敗もたくさんした。
そのたびに何とか乗り越えてきた。
そうやって何十年も働いてきた。
しかし転職市場では、過去の経験がそのまま評価されるとは限らない。
企業が欲しい経験と、自分が持っている経験が一致しなければ、採用にはつながらない。
頭では分かっている。
それでも落ち続けると、
「結局、自分には実力がないんじゃないか」
と思ってしまう。
今日も少し、そんな気分になっている。
でも「採用されない=実力がない」と決めるのは早い
ここは自分自身への戒めとして書いておきたい。
採用されないことと、人間としての能力や価値は同じではない。
採用にはタイミングもある。
求められる経験との相性もある。
会社の年齢構成もある。
給与条件もある。
勤務地もある。
そして企業が今回の採用で解決したい問題と、自分の経験が一致しているかという問題もある。
つまり、
能力の絶対評価ではなく「その会社が今欲しい人材との一致度」で決まる部分が大きい。
そう考えなければ、100社応募するような就職活動では心がもたない。
1社落ちるたびに自分の人生まで否定していたら、100回も立ち上がれない。
これは今後の再就職活動で、私自身が一番気をつけなければならないことだと思っている。
60歳からの就職活動では「過去の肩書」を売るだけでは難しい
もう一つ、最近考えていることがある。
60歳を超えた人間の就職活動では、
「以前は○○をやっていました」
だけでは弱いのではないか。
重要なのは、
「だから、あなたの会社で何ができます」
まで変換することなのだと思う。
例えば、
「管理職を20年経験しました」
ではなく、
「新人教育やスタッフ間の調整ができます」
とする。
「営業経験30年」
ではなく、
「既存顧客との関係維持やクレーム対応に慣れています」
とする。
「○○部長でした」
ではなく、
「現場と経営側の間に入って調整できます」
とする。
過去の役職そのものよりも、
その経験によって、今何ができるのか。
ここを職務経歴書で明確にする必要があるのだろう。
これは私自身、もう一度見直してみようと思っている。
そして頭をよぎる「タクシードライバー」という仕事
再就職について考えていると、最近ときどき、
「タクシードライバーになろうかな」
とも思う。
タクシー業界もドライバー不足という話を聞く。
年齢を重ねてから始める人もいる仕事だ。
もちろん簡単な仕事ではないだろう。
長時間運転する体力も必要。
安全運転への責任もある。
接客もある。
道を覚える必要もある。
売上へのプレッシャーもあるかもしれない。
それでも、
「自分にもできる可能性があるのではないか」
と考える仕事の一つになっている。
ところが、私の場合は「犬」がいる
ここで問題になるのが犬だ。
私にとっては、これがかなり大きい。
仕事だけを考えるのであれば、
「タクシードライバーをやってみよう」
という判断もできるかもしれない。
しかし生活には仕事以外のものもある。
犬との生活だ。
長時間家を空ける仕事の場合、どうするのか。
勤務時間はどうなるのか。
休憩中に帰宅できるのか。
勤務形態を選べるのか。
犬を長時間ひとりにして大丈夫なのか。
仕事が決まればそれで終わりではない。
働くことと生活することを両立できなければ、長く続けることはできない。
特に犬は、
「今日は仕事だから我慢してくれ」
と事情を理解してくれるわけではない。
散歩も必要だ。
食事も必要だ。
一緒に過ごす時間も大切にしたい。
だから私にとって、
「犬との生活を維持できる仕事かどうか」
は、給料と同じくらい重要な条件になっている。
60歳からの仕事探しは「年収」だけで考えないほうがいい
若い頃の転職なら、
年収アップ。
キャリアアップ。
役職。
会社のブランド。
こうしたことを考えるかもしれない。
しかし60歳を超えた今は、少し違う。
私がこれから考えるべきなのは、
「残りの人生をどう働き、どう暮らしたいのか」
なのだと思う。
給料が高くても毎日12時間家を空けなければならない仕事。
給料は少し低いけれど、ある程度時間の自由がある仕事。
通勤に片道90分かかる仕事。
自宅の近くで働ける仕事。
週5日勤務。
週3〜4日勤務。
正社員。
契約社員。
業務委託。
今までは「正社員として再就職する」という一本道で考えていた部分もある。
しかし、もう少し選択肢を広げてもいいのかもしれない。
今後の再就職活動でやってみようと思う5つのこと
悩んでいるだけでは何も変わらない。
そこで、自分なりに次の行動を整理してみる。
1.応募数だけでなく「書類通過率」を記録する
何社応募したか。
何社書類を通過したか。
どんな会社なら反応が良かったのか。
感情ではなく数字として残してみる。
もし30社応募して全部落ちたのであれば、応募先か書類のどちらかを変更する。
同じ方法で100社応募するのではなく、
10〜20社ごとに改善する。
これをやってみたい。
2.職務経歴書を「実績」ではなく「相手へのメリット」で書き直す
自分が何をしてきたかではなく、
「この経験を採用企業でどう使えるのか」
という視点に変えてみる。
特に60歳以上の場合、
「過去の自慢」
に見えないように注意したい。
昔の役職より、
明日から何を手伝えるのか。
ここをもっと明確にする。
3.正社員だけに限定しない
契約社員。
嘱託。
短時間勤務。
週3〜4日。
業務委託。
アルバイト。
こうした働き方も含めて考えてみる。
入口は契約社員でも、そこで必要とされれば道が広がる可能性もある。
4.タクシー業界も「想像」ではなく具体的に調べる
タクシードライバーについても、
「どうかなあ」
と考えているだけでは答えは出ない。
実際の勤務時間。
隔日勤務とはどんな生活になるのか。
日勤勤務は可能なのか。
休日数。
収入。
二種免許。
研修。
そして犬との生活との両立。
ここまで具体的に調べてみれば、
「できる・できない」
が見えてくるはずだ。
5.犬との時間を最初から就職条件に入れる
これは私にとって重要だ。
仕事が決まってから、
「犬をどうしよう」
では遅い。
最初から、
犬との生活を続けられる勤務条件
を考える。
勤務地。
拘束時間。
休日。
勤務開始時間。
残業。
通勤時間。
これらを含めて判断する。
それはわがままではなく、これからの生活設計なのだと思う。
「働ける場所」ではなく「続けられる場所」を探したい
今回、再就職活動をしていて感じるのは、
60歳を過ぎてからの仕事探しでは、
採用されることだけをゴールにしてはいけない
ということだ。
焦っていると、
「どこでもいいから採用してほしい」
という気持ちになる。
私もそうなる。
でも、それで無理な仕事に就いて、数か月で辞めてしまったら、また最初からやり直しだ。
だったら、
「自分はあと何年働きたいのか」
「どのくらいの収入が必要なのか」
「何時から何時までなら働けるのか」
「犬との生活はどうするのか」
「何を大切にして生きたいのか」
これを整理したほうがいい。
60歳からの再就職は、
単なる仕事探しではなく、
これからの人生設計そのものなのかもしれない。
人手不足なのに仕事が見つからない。この矛盾とどう付き合うか
「人手不足なのに仕事がない」
これは不思議な話だ。
正確には、
企業が欲しい人と、仕事を探している人の条件が一致していない
ということなのだろう。
企業側にも希望がある。
働く側にも生活がある。
その接点を探すのが就職活動なのだ。
だから、書類で落とされたからといって、
「自分には価値がない」
とまで考える必要はない。
……と、今日は自分自身に言い聞かせている。
実際には、落ちればやっぱりへこむ。
「またか」
と思う。
100社に1社と言われても、100社応募するのは簡単ではない。
人間だから落ち込む。
それでも、
1社に出会えればいい。
100社から内定をもらう必要はない。
自分が働ける会社は1社あればいい。
そう考えて、もう少し続けてみようと思う。
そしてタクシードライバーという選択肢も捨てない
タクシードライバーも、もう少し調べてみたい。
年齢だけで諦めず、
実際の勤務体系を調べる。
できれば会社にも話を聞いてみる。
「犬を飼っていて、長時間家を空けることが難しいのですが、日勤などの勤務方法はありますか?」
そう聞いてみてもいい。
聞くのは無料だ。
ダメなら別の方法を考えればいい。
今までは、
仕事に生活を合わせる
という考え方だった。
でも、これからは、
自分の生活に合う仕事を探す
という考え方でもいいのかもしれない。
今日の結論――実力がないと決めるのは、まだ早い
正直に言えば、今日は少し自信をなくしている。
再就職は想像以上に難しい。
人手不足というニュースを見るたび、
「だったら私を雇ってくれよ」
なんて思うこともある。
書類選考で落とされ続ければ、
「自分には実力がないのかな」
とも思う。
でも。
まだ結論を出すには早い。
職務経歴書を変えてみる。
応募する会社を変えてみる。
働き方を変えてみる。
正社員以外も見る。
タクシードライバーも調べる。
犬との生活を守れる仕事も探す。
まだ試していないことはある。
60歳を超えたから、もう終わり。
そう決めてしまうのは簡単だ。
でも、どうせならもう少しあがいてみたい。
若い頃とは違う。
体力も違う。
企業からの見られ方も違う。
だけど、60年以上生きてきたからこそ持っているものだってあるはずだ。
経験。
失敗。
人との付き合い方。
我慢する力。
トラブルへの対応。
そして、
「仕事だけが人生ではない」
と分かってきたこと。
これらを必要としてくれる場所を探してみたい。
100社に1社なら、その1社に出会うまで。
ただし、無理はしない。
犬との時間も大事にする。
自分の生活も大事にする。
仕事のためだけに生きるのではなく、
これからの人生を楽しく生きるために働く。
そんな仕事を見つけられたらいい。
今日も求人情報を眺めながら、そんなことを考えている。
まだ、諦めるのは早い。
たぶん明日も、求人を探していると思う。
そして犬の顔を見ながら、
「お前がいるから、仕事選びが難しいんだよ」
なんて言うのだろう。
でもきっと、その犬がいるからこそ、
私は焦りすぎずにいられるのかもしれない。
仕事は大切。
お金も大切。
でも、人生はそれだけではない。
60歳を過ぎてからの再就職。
簡単ではない。
だったら、この苦労も含めてブログに残しておこう。
いつか仕事が決まった日に読み返して、
「あの頃は本当に悩んでいたな」
と笑える日が来ることを願って。

